第5話 見つかってしまった秘密
翌朝は、またいつもどおり喫茶店でバイトが入っていた。
昨夜感じていた、あれだけ激しい情欲も――
いまは、静かになっていた。
でも――
マスターの顔を見ると、なぜか昨夜のことを思い出して胸が痛む気がした。
いつもどおりに
そう
いつもどおりに。
なるべくそう心がけながら、ホールで注文を受けて、テーブルに運んで……
その時だった。
「なぁ、あんた」
「あ、はい。ご注文ですか?」
声をかけてきた、同い年くらいの男が、私を呼び止めた。
注文かと思ったが、その男はなにも話さない。
でも、どこか下卑た笑みを浮かべていた。
「……」
「あの……お客様?」
まるで品定めでもするかのような視線に不快感を覚えながらも、先を促す。
すると――
その男は、スマホで撮影された、画像を見せてきた。
「……これ、あんただろ?」
「――っ!!」
それは
派手な恰好をした、昨夜の私だった。
私が昨夜行っていた、あの場所で……
壁にもたれかかっているところを、いつの間にか撮られていた。
「派手な服着てたから昨夜は分かんなかったけどな。でもどこかで見た顔だと思ってたんだ。当たってたぜ。」
息が、できなかった。
辺りが急に暗くなった気がした。
私があの場所に出入りしているのを、まさか喫茶店の客に見られていたなんて
「まさか、女装してハッテン場に出入りしてるなんてなぁ!」
その客は、嬉々として――店内に響き渡るほどの大声をで、そう嘲笑した。
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