掛け合い

@isorisiru

第1話

1

A「う”っ…もうキツイ…お前がこんなに強いなんてな…」

B「そうでしょ~?だから無謀な挑戦だっtお”ロロロロ」

A「ウソだろお前?!取り敢えず水飲め!」

B「うぷ…ごめんごめん、二人で宅のみだからって羽目外しすぎちゃった…」

A「にしてもお前、吐く程酔ってるにしては意識がしっかりしてるな」

B「いやそうでもないよ?君が50人くらいに見える。多分ここから立てない」

A「はぁ、全く…吐いたのは俺が処理するから…」

B「あ」

A「何?」

B「…トイレ行きたい」

A「…ウソだろ…?」


2

A「ほらほら、俺の酒が飲めないって言うのか~?」

B「やめろよ、絡み酒なんて。学生からの付き合いだからいいけど後輩とかにやったら大変だぞ?」

A「お前は何時も頑張ってるからな、俺を置いて昇進するし!ここで位休まなきゃ、な!」

B「あれだけ上司(B)に盾突くお前も困りもんだがな」

A「でもお前、本当に凄いよ。いつも俺達の力を見抜いてさ、まとめるのでも忙しいのに夜遅くまで残業して。本当凄い、すごいぜ!」

B「なんだ、褒め上戸か?嬉しいもんだな」

A「俺はずっと…お前の下…でも…zzz」

B「……いい部下を持ったもんだ」


3

A「済まないね、本当は社内で話が付けば良かったんだけど…」

B「いえ、大丈夫です!それにしてもお洒落な店ですね、ここ…」

A「親戚がやっていてな、マスター、○○を一杯…」

B「(仕事の話だ…下戸だけど絶対酔わない様にしなきゃ…!)」

A「んくっ……それにしても凄いよな、君」

B「?」

A「おしごとのはなししたくなくなってきた」

B「えぇ?!先輩?!」

A「家に帰って仕事したくない!この後の話家でやってもらう仕事だし…」

B「落ち着いてください先輩!…え?先輩は超下戸?!見得張って良いの飲んだ?!」

A「Bくーん…意外と君良い面してるじゃないか…学生時代はそれはもうモテたんだろう?」

B「絡み方が大学生!」

A「zzz…」

B「早ッ」


4

A「ップハァ、…皆潰れちゃいましたね、先輩」

B「そうだね、やっぱり私達のアルコールの耐性が強いみたいだね。」

A「会計しときます?多分こいつら起きないっすよ」

B「そうしとこう、面倒だから潰れてる人達はほっぽって帰るとするか…」

A「全員真っ赤っか…店の人には申し訳ないですけど、このまま抜けますか」

B「そうしようか、嗚呼、家に帰ったらレポートが待っている…」

A「…どうせなら、もう一回呑みなおしません?」

B「誰か呼ぶのかい?」

A「いいえ?サシで。」

B「良いだろう、乗った。」

A「この近くに焼き鳥の美味い店があるんすよ」

B「興味深いね、是非行こうじゃないか!」


5

A「ヒクッ…グスッ…」

B「…はぁ…」

A「なんでため息つくのぉ”!」

B「当り前だろ!泣き上戸が凄すぎるせいで俺がお前を泣かせたみたいになってるんだよ!」

A「べづにな”がせでないじゃん”!」

B「あーっもう顔がぐしゃぐしゃだし…あ、はい大丈夫です。ほんとに意味もなく泣いてるだけなんで…はい」

A「ごべんな”ざいい”ぃ」

B「すいません、本当に…はい…もう、化粧落ちるよ」

A「やだあああ”あ”!!」

B「はぁ、次はあんまり開放的じゃない所にしよう…」


6

A「あははぁ、アンタつるつるだねぇ、ぃつ全身脱毛したの?」

B「姉ちゃん、酔ったとは言えど水晶玉をこねくり回しながら弟と呼ぶのはやめて」

A「成人一日目で飲酒なんて、夢みたいなことしてるわよねぇ…昔はこーんなに小っちゃかったのに」

B「実の弟を微生物か何かと勘違いしてらっしゃる?というか血統的な問題でもれなく姉ちゃんも微生物だが?」

A「昔みたいにねぇね、って呼んで欲しいのになぁ~?こんなパソコンに張り付くヲタクになっちゃって…」

B「十何年前の話だよ…それに、アイドル追っかけまわして金の無心してくる姉ちゃんよりはよっぽどできた趣味だと思うぜ」

「神を追いかけ回すのよ?!お金かかるにきまってるでしょ?!」

B「二次元は素晴らしい、推しから会いに来てくれる…ってか、そんな事はどうでもいい」

A「それにしぃてもアンタ縮んだわよねぇ、あはは、私の頭位小っちゃい」

B「そんなちっちゃくねーよ、遂に感覚まで狂ったか…パーツ全部小っちゃくてもそれはないだろ、『全部』な」

A「ん”?」

B「それは凄みなのか只のだみ声なのか…そもそも論、俺の部屋に勝手に入ってくんなよ、あと酒飲み慣れてる姉ちゃんより俺のが強いの何?」

A「私は酔ってなんかいない、断じて!気持ちいのはお前の成人がうれしくてハイに…グスッ」

B「目から酒を流している女が何を言ってやがる、黒歴史父さんたちにばらすぞ」

A「黒歴史…黒歴史!!アンタもどっかに黒歴史隠してるんでしょ~さぁがすわょー!」

B「やめろー!バカー!」


7

A「いらっしゃいませ、ご主人様の客人様でございましょうか」

B「お荷物お持ちしますね、お客様」

A「一応」

B「ご存知かと思いますが」

A「ご主人様は『時』を司る時女神(ときめがみ)様です」

B「この広い屋敷の様々な扉があらゆる時空に繋がっております。」

A「過去、現在、未来…万が一、宇宙が生まれる以前の空間を引くと…」

B「びゅごーん、呑み込まれて闇の中です」

A「私達はご主人様の加護があるので対策は可能ですが、お客様は大変なので」

B「ご主人様はこの通路をまっすぐ行った先の大書斎におられます…が…」

A「大書斎は次元の歪みが一番激しいので、ご主人様に合われる前に、、そうですね」

B「私達と色々見て回りましょう。体を慣らすのも給仕の仕事です」

A「それがいいですね、行きましょう行きましょう、善は急げです。」

B「でわでわ」

A「ではでは」

B「行きましょう、来てくれなきゃお荷物は返しません。」


8

A「拝啓、遠い世界を眺める貴方へ」

B「拝啓、暗い闇を観測する君へ」

A「貴方は今一体、どこで」

B「何をして…いますか。」

A「この澄んだ空の続く場所にいますか?」

B「いつものように、笑顔で。いてくれますか?」

A「遠い世界に羽ばたいた貴方に合うのは難しいかもしれない。」

B「闇に沈んだ君の手を引くのは不可能かもしれない。」

A「…それでも」

B「…それでも。」

A「貴方の行く先に、精一杯の幸福があらんことを。」

B「君を蝕む闇に、精一杯の護りを。」

A「…今はただ、それを」

B「固く、切に。願い続ける。」


9

A「所長、夜食できましたよ…って、資料また増えてません?」

B「ああぁ来たかい助手君!また後で食べるからその辺にでも置いといてくれたまえ!」

A「そう言って昨日の夜食がまだ残ってるっす。何徹目でしたっけ?頭痛くて日付も解んねぇ…」

B「5徹目だぁよ助手君。嗚呼、私の脳細胞が光り輝き叡智の結晶として溢れ出してくる!……はっ?!」

A「…腰でもやりましたか?俺ちょっと一服してくるっす」

B「そうか…真理とは、宇宙とは…こんなものだったのか…前衛理論のを組みこんで解釈すると…この数値が出て…」

A(小声)「ああなると所長は面倒だけど仕事は早いんすよねぇ…」

B「ぐふふふふ、解る、理解るぞぉこの命題!なぁにが『200年解けない』だぁ?」

A「只今戻ったっす…って、もう終わったんすか」

B「そうとも、理論は完璧さ。このエンターを押したら私の世紀の論文は完成する!エンターああああああぁぁぁぁぁZZZ…」

A「…はぁ、これだから所長は…」


10

A「俺も…その、お前のことが好き。」

B「…!!じゃあ、」

A「告白は…OK,で」

B「やったぁ!じゃあこれからよろしくね!」

A「うん…じゃあ」

B「私以外の連絡先消して?」

A「今日俺以外誰と喋ったか教えて?」

A「…??」

B「…???」

B「私以外の女とは喋ってほしくないから連絡先消してほしいだけなんだけど…」

A「俺以外の男と喋ったの把握しておきたいから誰と喋ったか教えてほしいんだけど…」

A「…これはもしかしなくても」

B「もしかするかもな」

A「二人共…」

B「束縛系ヤンデレだ…」


11

A「零(こぼ)れ落ちる透明の雫(しずく)」

B「巻き上がる螺旋(らせん)の黒炎(こくえん)」

A「四獣四神(しじゅうししん)の座して守りし現世(うつつよ)」

B「央(おう)に鎮座(ちんざ)しせしは麒麟(きりん)の神」

A「守りてねんころり」

B「壊して懇(ねんご)ろり」

A「さぁさ皆々様御立合(おたちあ)い」n

B「陰陽(おんみょう)統べる安倍(あべ)のと芦屋(あしや)のの一騎(いっき)打ち」

A「晴れて白が勝つか、呑んで黑が勝つか」

B「はたまた混じりて墨を撒(ま)くか。」

A「どれに賭けざんしょう」


12

A「広いホールに、金色の調べが響き渡る。」

B「閑古鳥も啼かぬ程閑散とした客席に」

A「石鹸玉のように靡き、弾け、音を届ける。」

B「貪欲に賞を目指し、長き研鑽を晒し、」

A「瞬間を無我夢中に織りなされる音を、」

B「宛ら優雅に体を揺らす彼の人達を」

A「只舞台袖で見守るしかできない。」

B「そこには憧れと、尊敬と。」

A「心の片隅に付いて少しも離れない羨望。」

B「嘗て自分が味わった様に、」

A「この音楽は誰かの人生を変える音となる。」

B「最期の音が会場に豊かに響く。」

A「誰かの心の中に、響きが留まる音がした。」


13

A「いらっしゃいませ、ご主人様の客人様でございましょうか」

B「お荷物お持ちしますね、お客様」

A「一応」

B「ご存知かと思いますが」

A「ご主人様は『時』を司る時女神(ときめがみ)様です」

B「この広い屋敷の様々な扉があらゆる時空に繋がっております。」

A「過去、現在、未来…万が一、宇宙が生まれる以前の空間を引くと…」

B「びゅごーん、呑み込まれて闇の中です」

A「私達はご主人様の加護があるので対策は可能ですが、お客様は大変なので」

B「ご主人様はこの通路をまっすぐ行った先の大書斎におられます…が…」

A「大書斎は次元の歪みが一番激しいので、ご主人様に合われる前に、、そうですね」

B「私達と色々見て回りましょう。体を慣らすのも給仕の仕事です」

A「それがいいですね、行きましょう行きましょう、善は急げです。」

B「でわでわ」

A「ではでは」

B「行きましょう、来てくれなきゃお荷物は返しません。」


A「そういえばお客様はご主人様とどのような関係で?」

B「確かに、ご主人様変人ですし、半分ヒキニートですし。」

A「こら。…この子が言った通り、ご主人様は外部とのつながりが少ないです、お客様が来るのもすごく珍しいし。」

B「こんな半分ダンジョンまがいの屋敷、人も帰ってこないって噂もあります」

A「…ああ、ご主人様の昔馴染みでしたか。」

B「私たちが作られる前だから…300年以上前のお付き合いのお客様ですか。」

A「あれ?でもそんなに前だと…」

B「ご主人様の黒歴史時代、イキって神殿とか建てまくってた時期ですね…」

Aねぇ、ちょっと…」

B「あの頃の記憶見たことありますよ、私。今じゃ考えられない神様チックな口調でニンゲンと接触してて」

A「ねぇってば」

B「あ」

A「…すみませんお客様、お着きしました。」

A「我らが主人にして時女神」

B「この方がかのウルド様、その人です。」

A「…あのウルド様、ちなみに先程の話は…」

B「あの…お仕置きはほどほどに…お願いします。」


14

Aお待たせ、ごめんな?放課後来てって言って待たせて。

Bいえ、大丈夫です。勉強を教えてって言ったのは自分なので。それにちょうど一息ついた所だったんです。

Aいやぁ会議が長引いて、もう大変で。教頭の話は長いし…って、生徒に愚痴は吐いちゃいかんな。

B先生も大変ですね、忙しそう…

A教職だから仕方ないな。で、どこがわからないんだ?

Bそこに置いてある、教科書の開いてあるページが…ちょうど休んでたところでわかんないんです。

Aここかぁ。コケやすい所だからな。あ、コーヒー淹れてくれてありがとな。えっと、ここはな?この公式を使って…

B成程、ここはこうやって、こういう展開をして解くんですね。

Aそうそう。…って、あ。下校のチャイムだ。じゃあちょっとしたら、一緒に帰ろうか。

B先生、この後の業務はないんですか?忙しいってさっき…

A全部終わらせてきた。どうせ聞いてくると思ったし、教え終われると思ってなかったからな。

Bそっか。じゃあ家で補習だね、兄さん。

Aやめろ、顔馴染みとはいえ教員と生徒なんだ。学校を出るまでは我慢しろ。

Bちぇ、兄さんのけち。


15


 

A君色に染まりたいような

B私色に染めたような、そんな特別な一日。

A僕には、私には関係ないって

B臆病になって、また心が迷子になって。

Aでもちょっと気になって、斜に構えたりもして。

B今年もチョコレートコーナーでまた立ち止まってしまう。

A想ってるだけでいたいような、それでいて伝えたいような。

B今日だけは神様を信じて、味方して欲しいような。そんな気持ち。

A君はどう渡すだろうか。僕はどうもらうだろうか。

B二人とも赤く染まって、きっと夢心地なんだって。

A照れくさそうに渡してくる君が見えるようで

Bぶっきらぼうに受け取る君が見えるようで

A今からあの顔が浮かんでるその理由に気づいて、

Bまた一人で恥ずかしくなっちゃって。

A今日は、寝れそうにないや。

B今日は、寝れそうにないや。






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