第86話キャプテンハルク

 朝飯を食べるためリョウを、女将さんに預けて食堂の席に着くと可愛いウエイトレスさんが料理を運んできてくれる。


 堅いパンと、コーンスープと野菜たっぷりの魚介煮込みでとても美味しかった。


 裏庭で5つの型からの、素振りをやっていると左でドムとライラも素振りを始めていて、リョウも前後左右に高速移動する訓練をしていて。


 右では、フランとマリアが体術の型と、体の使い方の研究と組手をしていた。


 1時間の鍛錬を終え、俺達青いつばさのメンバーは、地図を見ていたリョウの先導で、港のドックに向かう。


 ドッグに着き、港湾労働者の方に、キャプテンハルクの事を聞くと、ここは1番ドッグで3番ドッグに、いるはずだと答えられる。


 3番と書かれた、ドアを開けて大きな声で、キャプテンハルクさんはいませんかと、尋ねるとここにいるぞと返事された。


 碧眼の30歳ぐらいの男が、俺がキャプテンハルクだが何の用だと言うので、教会孤児院のフローリ様の紹介で、エルンに行くなら相談するように言われたと伝える。


「フローリ様か、孤児院を卒業しても度々援助を受けて。とても世話になり助かった」


「おむつ交換したのは、誰だいと言うのが口癖のお方だったがな」


「エルンに、渡るにつけ頼れと言われました」


 船は、武装重帆船で艦砲が片側9門の両側で18門の、極度の武装船で最大積載量も交易に十分なうえに、馬車も2台も積める高速高性能船との事だった。


 交易権を金貨50000枚で買ってくれれば、パーティーと幌馬車の輸送費は、永久的に無料にしてくれるらしい。


 それを聞いて、皆で相談して買う事にしたと、キャプテンハルクに伝えたら喜んでくれたが、今後の証明の為に商業ギルドを通してくれと、言われたので向かう事にした。


 商業ギルドは、邸宅2件分もあり大きく、清潔感がある建物である。


 中に入ると、受付が5つあり1番空いている3番窓口の、綺麗な兎耳受付嬢さんにキャプテンハルクが、3番ドッグのアルカ号の交易権を、金貨50000枚で青いつばさのメンバーが、共同購入を望んでいると伝える。


 綺麗な兎耳受付嬢さんは、ギルド会員になっていない方は、登録お願いしますと言うと、ドムとマリアとライラが、登録料を払い会員登録した。


 今回は、ドムも金貨10000枚出すと言い、俺とフランとマリアとライラが金貨10000枚づつ出し、合計金貨50000枚で交易権を共同購入する。


 これで、交易や輸送の利益の半分が出資してくれた、割合によって商業ギルドカードに、振り込まれるからたまに確認するようにと、キャプテンハルクが言う。


「皆とは、アルカ号の共同経営者みたいなものだ。よろしく頼む」


「こっちこそ、よろしく頼むぞ」


「また、アームったら偉そうにしないの」


「そのぐらいの方が、頼もしくて良いじゃないか。アルカ号との通信用水晶を渡しておく」


「あたいも、口は悪いけど礼儀は通しているよ」


「俺も水晶を、持ち歩いているから何時でも。フレンドリーな会話が楽しめる」


 キャプテンハルクが、そう言ってアームに右手を出して、友好の握手を求めてくる。


 フランとマリアが、アームの礼儀を注意しているが、ライラはキャプテンハルクの物言いが、大人びていて好ましく思われ、顔を赤らめていた。


 ドムは、我関せずのようで酒が飲みたいと、相変わらず呟いている。


「昼飯も近いし、市場に行けば面白い食べ物もあるし。美味い酒も飲める」


「わしも、キャプテンハルクの言う酒が飲みたいぞ」


皆も、食べたいとキャプテンハルクの案内で、市場の猫さん亭と言う居酒屋に入る。


「女将さん、麦焼酎1人はロックで後の4人は水割りで。1人は果汁ジュースで頼む。あと刺身を舟盛りで。犬にも食べさせてやってくれ」


「刺身って、生魚が食べられるのか」


「フリーズで、寄生虫対策してあるから。安心して食べてくれ」


 俺とフランが、可愛いウエイトレスさんに箸を出して貰って、ワサビ醤油でイカやハマチみたいなのや、マグロみたいなのを美味しそうに食べると。


 生魚を警戒していた、ドムやマリアやライラ恐る恐る食べ出したら、味の良さに負けて美味い美味いと、食べ進めていった。


〖新鮮で、とても美味しいですがマグロが絶品です〗


「わしは、麦焼酎が度数もあり刺身にもあって好きじゃ」


「俺も、新鮮な刺身が食えたり麦焼酎が飲めて。感動ものです」


「アームよ、そんなに喜んでくれて嬉しいが。それなら俺と冒険者ギルドで。手合わせをしてくれ」


 キャプテンハルクの、言う通りに冒険者ギルドの裏の、訓練場で俺は真剣で構えあっていると、リョウがはじめと合図した。


〖ご主人様は、まだCランク冒険者です。手加減してください〗


 俺と、キャプテンハルクの切りあいが、何十度と続き魔法攻撃を使って来いと言われ、ウォーターカッターを放つとウィンドカッターで相殺される。


「アームが、CランクなものかAランク冒険者の。実力は十分あるぞ」


 皆は、その言葉に驚きは少なかった何度となく、Bランク冒険者並みの実力者を、倒してきたのを見てきたからである。


 それよりも、驚いたのはキャプテンハルクの実力だった、アームともう1時間以上の真剣での切りあいしているのに、体力が続いているとの事であった。


「実力はわかったよ、アームも剣を納めてくれないか」


 その声に、俺も我に返ったように剣を納めることにしたが、流石にキャプテンハルクの冒険者ランクが、気になって尋ねてみる。


 キャプテンハルクは、Sランク冒険者ではあるが船長業に専念していて、冒険者活動は休止中とのことではあったが、俺とドムとライラの前衛職には、丁寧に武技を教えてくれた。

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