第52話牧場のレシピ登録とパン

 スラム牧場の朝は、早くみんな牛の世話や乳しぼりなど、せわしなく働いている。


 朝ごはんですよと、堅いパンとコーンスープに牛乳と、肉と野菜の煮込みが出てきて結構豪華な朝飯だった。


 牧場の空き地で、5つの型からの素振りをやっていると、左でドムとライラも素振りを始めていて、リョウも前後左右に高速移動する訓練をしていて。


 右ではシスターリリーが、フランとマリアに体術の型の指導と、体の使い方と組手を教えていた。


 1時間の鍛錬を終え、俺とドムとライラは冒険者ギルドに、フランとマリアはここでフローリ様から教えてもらう。


 俺も1時間の走り込みに、5つの型からの素振りのあと、ガルムさんに実践訓練を受ける。


 風呂から出ると、俺とドムは昼飯を食いに食堂に行くと、リョウがフランとマリアとライラに撫で繰り回されている。


 席に着くと、料理を各自注文をしていたが俺はスペアリブ定食にし、リョウにもスペアリブのみ頼んだ。


 一度スラム牧場に戻って、生クリームとバターを完成させたいので、皆も来てほしい。


 昨日仕込んでおいた、生クリームの完成形を7分間振りながら、フランにフリーズをかけてもらいバターを作った。


 俺は、フローリ様とシスターユリアを連れて商業ギルドに行くから、皆はフランと買い物に行ってくれと、パーティー貯金から20金貨を渡した。


 商業ギルドの3番窓口で、綺麗な金髪受付嬢に3通書類を貰って、レシピを書き込み俺とフローリ様とシスターユリアに、連名でレシピ登録を行うように言う。


 それぞれに、ギルドカードを出し料理名を言い、レシピ登録をしていく。


「生クリームと、バターとチーズの現物はこちら」


「後はこちらの審査員が、料理を食べて合否が決まります」


 料理の現物を、綺麗な金髪受付嬢に渡したら、奥に持って行ってしまった。


 暫くして綺麗な金髪受付嬢が帰ってくると、審査員が食べて変わった味だが美味しく、合格だそうでこれで手続きは終了ですと、ギルドカードを返してくれる。


 シスターユリアが、本当に良かったのですかというので、では1つお願いをして良いですか言うと、何なりをと言うのでパンを焼いてくださいとお願いした。


 綺麗な金髪受付嬢に、パンを焼く石窯は買えますかと言うと、1つ100金貨ですと答えてくれたので、それを2つギルド牧場に設置するのと、灰色パンと白パンのレシピを買う事にする。


 商業ギルドカードに念じると、白光貨8枚と白金貨5枚とでたので金貨220枚を引き出して、シスターユリアに渡し石窯とレシピを買うように、指示すると素直に従ってくれた。


 パンを焼く人は、スラムの大人の人達から選んで欲しいと言うと、シスターユリアが何人か候補者がうかんだので、任せて下さいと言う。


「わしは、白パンは知っておるが灰色パンとはなんじゃ」


「屋台通りで、売ってるホットドックのパンですよ」


「ああ、あれならわしも食べたことがある」


「あたしも、食べたんですけど美味しかったですよね」


「灰色パンは、自分達の食用に白パンは販売用に焼くといい」


「教会孤児院用にも、灰色パンを焼いて欲しいのう金も払うから」


「スラムの、孤児院にも灰色パンを売るのじゃよ。スラムの人達の稼ぎが目的なのだから」


「あと俺は、シスターユリアとライズさんとスラム牧場のみんなで。地下室を作り冷蔵室にして生クリームやバターやチーズの。製作や貯蔵庫にしたら良いと思う」


 リョウの、先導でスラム牧場にもどると、腕輪からフェニを出して宿屋のエルザさんに、今日は泊まるから晩飯もよろしくお願いしますと、伝えるように命じた。


 牧場の子供達に、レモンを40個渡し良いチーズ作ってねと言い、青いつばさの皆を探しにリョウと市場に来てみると、魚介類焼いて酒を出してる店が結構ある。


 魚介類をつまみに、一杯エールを飲んでいるとフェニが帰って来て、エルザさんが了解との事ですと伝えてきた。


 再びフェニに、フランに市場で一杯飲んでいるから、皆とも飲みたいので来てくれと、伝えるように命じる。


 すぐにフェニが帰ってきて、フランさんから1人で勝手に飲んでるんじゃないわよ、との事ですと伝えてきた。


 ちょっと、恐怖を感じてまっていると、遠くからマリアの声が聞こえてくる。


「フラン、アームを見つけたよー」


 その声に、ビクッとして振り向くと、遠くのフランがズンズンと近づきいてきて大きくなっていく、笑みを浮かべているが口が引きつっていて怖い。


「飲むなとは、言わないけど皆を待つ度量が欲しいわ」


「あたしも、ドムまで我慢してるのにどうかと思うよ」


「わしも、我慢してるのになんたること」


「ごめんなさい、もうしません」


「これは、アームのおごりで飲食いさせてもらうしかないわ」


「それですむなら、やすいものですから存分にご注文を」


 わーいと、マリアとリョウが大海老にくらいつき、フランとライラが上等のブドウ酒を選び、貝焼きをつまみに注文してさらに、ドムが上等のブランデーと火酒を注文していた。


 俺も自棄だと思い、上等のブランデーを頼んで大海老に、くらいついて皆の機嫌が良くなったことに安心する。


 フランが、酔う前に買い物のお釣り金貨12枚を、パーティー貯金に返しておくわと渡してくれた。


 宿屋に戻って、エルザさんに今日あったことを報告すると、スラムの女達にも格闘術を教えないといけないなと、真剣に考えているようである。


「5人とも、晩飯食べてきなリョウはこっちだよ」


 俺達が席に着くと、可愛い狐耳ウエイトレスさんが料理を運んできてくれる。


 堅いパンと、コンソメスープと特製ステーキがでてきて、相変わらず柔らかいのにジューシーで美味しかった。

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