第5話 9月13日 口唇奉仕※

「っけ――」


 異物を口中に詰め込まれる苦しさと、口全体に広がる蒸れた臭いに、美星ちゃんは一瞬吐き気を催した声を漏らす。


 僕は次第に昂ぶっていった。

 このまま美星ちゃんのブルマを脱がして、思う様に刺し貫きまくりたい――その欲望と葛藤しながら、保健室の前を通る足音に戦々恐々としていた。


「うぇ……」


 美星ちゃんが、また吐きそうになる。苦しさに、大きな黒い目に涙が滲んでいた。


「みほ……し、ちゃん。誰か、来ちゃうから……」


 僕は、込み上げる射精感と闘いながら美星ちゃんの頭を制した。

 それを催促のサインと受け取ったらしく、美星ちゃんは舌を絡ませるように伸ばし、舌の裏で撫でまわす。さらにきゅぅっと吸い上げて僕のものを搾り出そうとする。


「あ……そんなにしたら――」


「出してくださって……いいですから。好きなだけいっぱいだしてください」


「いい……の?」


 返事の代わりに、美星ちゃんは再び僕のものを口に含む。

 小さな頭を押さえ付けて乱暴に揺さぶってやりたい衝動に駆られるけど、白い包帯の痛々しさに思い留まった。


「く……」


 限界だ――僕は自ら腰を使い始めた。


「ごほっ!」


 美星ちゃんが、喉奥を突かれる苦しさに咽る。

 その瞬間、美星ちゃんの小さな口蓋から外れた。


 あっと思った瞬間、勢いよく飛び出していた。

 まるで小便をしているみたいに大量のほとばしりだった。


「ご、ごめん……汚しちゃって」


 とても我慢できなかった。せめて一言いうことができたらこんなことにはならなかったのに。欲情に流されてしまった自分が情けない。


 美星ちゃんは、たぶん、初めて目にするだろうそれを、赤面しながら見つめる。


「すごいですね。ぴゅーって出ましたよ、ぴゅーって。お兄ちゃんは気持ちよかったですか?」


 あどけなく笑いかけられて言葉を失ってしまう。なんというか、すごく恥ずかしい。


「姉様に見つからないように……お洗濯しなければいけませんね。でも……嬉しい」


 美星ちゃんの指が掬った。


「お兄ちゃん……の」


 熱に浮かされたような瞳で、美星ちゃんはそれを自分の唇に運んだ。

 猫のような小さな舌が舐めとり始める。

 ぴちゃぴちゃという音が、やけに淫靡に響くようにきこえるのは気のせいだろうか。


 僕は、なぜか言い知れぬ違和感を美星ちゃんのその仕草に感じた。

 背筋が粟立つような異様な執着心を感じ、行為を終えたばかりの興奮が冷めてゆく。


 いや――気のせいだ。

 それだけ、美星ちゃんは僕を愛してくれている。その証に過ぎないのだろう。

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