朝顔の輪郭
オズワルド
加害でしか
松本 瑛香(まつもと あきか)
池田 早人(いけだ はやと)
好きな貴方と「被害者と加害者の関係」になりたかった。僕は加害か支配でしか愛を感じない。
コメダ珈琲で僕と早人で話し合っている。二人きりだと僕は何をしだすか分からないから。貴方はどこまでも優しい。だから貴方は支配者になりきれなかった。貴方が優しいから迎える結末。
貴方でない人に支配された時、初めて他人からの愛情で安心した。優しさは怖い。優しさは柔らかい。それ故に不意に僕が壊してしまいそうで触れるのが怖い。それに、優しさと愛が僕の中で上手く繋がらない。優しさってお世辞のように感じてしまい、僕だけの愛と実感出来ない。それに優しさとは刹那だ。
魚は人間に触れられると火傷してしまう。僕の心は優しく触れられると火傷のように感じてしまう。優しく触れないで。痛いんだ。
傷つけられながら愛してるとしか言われたことがない。昔病院で傷つけられた跡を見て、結婚指輪の跡を見ている気持ちになった。とても透いて温かいもので胸を満たされた気持ちになった。
優しい早人と結ばれた方が幸せになることは分かっている。それでも、早人に優しくされても、上っ面の言葉を注がれてるとしか思えない。
加害や支配とは本能的な深いコミュニケーション。僕は上っ面でコミュニケーションを取りたい訳ではない。深く分かり合いたいから加害や支配を望むんだ。
優しさで安心したことがない。幼少期は人生のチュートリアルだ。それで優しさを感じたことがなかった。だから未だに優しさが理解できない。でも、暴力は理解できる。
でも、僕の愛着は虐待の再演でしかない。だから、虐待に疲れてしまい、ドミナント側とあまり続かない。
僕は変わりたいと願っている。優しさで愛を感じるように。でも、味のしない愛を食み続ける感覚が怖い。一人になりそうで。
早人は一万円札を置き帰った。
どうしたら僕は幸せになりますか。解けたアイスと僕の汚い涙が混ざる。僕は鼻と口を手で押える。鼻水が溢れるのを感じる。
どこまでも汚い体液が僕をつたう。
僕はただ、愛を望んだだけなのに。誰かに満たされたかっただけなのに。こんな僕でなかったら貴方と僕は幸せになれたのに。貴方は幸せになれたのに。貴方を不幸にした僕にこれを言う資格はないと知っている。それでも、最後に僕の想いを一つだけ言わせて欲しい。
貴方が幸せになるなら僕は貴方の道具でもよかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます