夢と楽園 / 猿夢

密室

始まり

私は、夢を見ていた。

乗った覚えのない電車、その中に私はいる。

車内に不気味なアナウンスが響き渡った。


「次は、ひき肉、ひき肉」


男性の低い声が車内に広がる。

嫌な想像が頭をよぎった。

何者かが、人を殺している。

これは殺人列車で、きっと自分も殺される。


「これは夢だ、覚めろ、覚めろ」

心の中で必死に叫ぶが、

いつものように夢から覚めることはできない。

冷や汗が額を伝い、全身が震える。


車両の扉が重々しい音を立ててゆっくり開く。

暗闇から四人の小人が入ってきた。

大人の半分ほどの身長で、白い服に白い覆面。

無言のままぎこちなく台車を押してこちらに近づいてくる。

その台車の上には、ひき肉を作る機械が置いてあった。


「早く、目を覚まさないと…」

心臓が激しく打ち鳴り、全身が硬直する。

小人たちがどんどん近づき、自分のすぐ隣で足を止めた。

手には、トゲが沢山ついたハンマーが握られていた。


ハンマーが、振り上げられる。

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