いけいけ勇者様79

最上司叉

第1話

【チュンチュン】


盗人は朝目を覚ました。


「やっと起きた!」


「?」


盗人は仲間の魔法使いに言われたが訳が分からない。


盗人は身体を起こそうとしたその時腹部に激痛が走った。


「ッ!」


「まだ無理しないで!」


盗人は仲間の魔法使いに怒られる。


【コンコン】


【ガチャ】


ドアが開き食事を持った仲間の女が入ってきた。


「良かったです、意識が戻って」


「…ありがとう」


「ホントですよ、皆さん心配してましたから」


「…そっか」


「はい」


盗人が寝ているベッドの横のサイドテーブルにお粥とヨーグルトが置かれた。


「ちゃんと食べてくださいね」


「…ありがとう」


盗人は慎重に起き上がりご飯を食べ始めた。


「…美味しい」


「…」


「…どうした?」


盗人が仲間の魔法使いに聞いた。


「盗人、何があった」


「…」


「黙ってちゃ分からない」


「…よく分からないんだ」


「どういうことだ?」


「…何時ものように猫と散歩してたらいきなり声が聞こえて」


「そうか、何かに取り憑かれたか」


「…分からない」


ここは爺やの出番だと思い魔法使いは勇者と魔王にこのことを告げに行く。


そして盗人は食事を終えてまた横になる。


「…」


そのまま眠ってしまったのだろう盗人が起きたら何やら爺やが儀式をしていた。


「おお盗人殿!」


「…何してるの?」


「少しこの件は厄介でしてな」


「…」


「大丈夫ですぞ、この爺やにお任せを」


爺やは自分の胸元を叩いた。


「…ありがとう」


「いやいや、それでは始めますぞ!」


爺やが何か唱えだしたら盗人が寝ている部屋の床が光だした。


「…」


盗人はベッドに横たわりながらじっとしている。


『…誰だ』


「…」


『…この私の邪魔をするのは誰だ!』


【ドォォーン!】


誰かの声が聞こえた瞬間盗人の寝ている部屋が勢いよく揺れだした。


爺やは一心不乱に儀式を続行している。


そこへ誰かの声が聞こえてきた。


『…お前はもしや…爺やか?』


「…?」


「…もしやその声は前魔王様?」


『やはり爺やか』


「前魔王様は何をしておられるのですか?」


『なに、ただの暇つぶしよ』


「!ここには魔王様もおられるのですぞ」


『なに、そう怒るでない』


「こんなことが魔王様に知られたら大変ですぞ」


『…そうか…娘の仲間だったか…』


「前魔王様お早くお帰りを」


『なに、そう急くでない、私が力を貸してやろう』


「ええー!」


『なに、久しぶりに娘に会えるのだ、しばらくゆっくりさせい』


「ぐぬぬ…分かりましたぞ」


「…」


盗人は呆気にとられて言葉を失う。


どうやら盗人の戦力がアップした。


ホントにこれで良いのだろうか?

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