第36話:ご飯2・文野綾子視点
四郎さんの車に乗せてもらって、小学校まで鈴音を迎えに行きます。
四郎さんの車には、フソウをはじめとしたボディーガード犬が乗っています。
鈴音をできるだけ安全な場所にいさせたくて、学童保育をお願いしています。
小学校につくと、鈴音が学童を受けている放課後子ども教室に迎えに行きます。
四郎さんも施設の小学生たちを迎えに行きます。
放課後子ども教室は17時で終わるので、それまでに迎えに行くのです。
私はそのまま子ども食堂まで歩いて行きます。
結構遠くて大変ですが、健康のためのウォーキングだと割り切っています。
もちろん鈴音はフソウの背中に乗っています。
四郎さんは、小学校に通っている施設の子を連れて隣の中学校に行きます。
クラブ活動をしていない、あるいは早めにクラブが終る中学生と一緒に、小学生を引率して児童養護施設に送っていくのです。
施設の子は、将来の事を考えて、小学生の頃からしかり勉強します。
高校受験や大学受験で奨学金がもらえるように、しっかり勉強します。
スポーツ推薦やスポーツ特待生を目指してクラブ活動をする子もいます。
昔は高校を卒業したらすぐに就職すると決めている子が多かったそうです。
もっと昔は、高校には行かせてもらえず、中学を出て直ぐに働いたそうです。
中学生の内からアルバイトをして、コツコツをお金を貯めた子もいたそうです。
普通は高校生になるまでアルバイトは禁止されているのですが、保護者や後見人が認めると、限られた範囲だけ特別に許可されるそうです。
ですが今は中学生からアルバイトする施設の子は1人もいないそうです。
定期的に帰ってきて勉強を教えてくれる卒園生のアドバイスで、奨学金がもらえるくらい勉強する子がほとんどだそうです。
白子さんたちのアドバイスで、マンガや小説が好きな子は、マンガや小説を書いて投稿して、インセンティブ呼ばれる報酬を得ている子もいるそうです。
マンガが大ヒットすると、何十億円ものお金が入って来るそうですし、就職してからも合法的な副業にできるので、お勧めだそうです。
好きな事を趣味にするのは大変な気もしますが、努力できるのも確かです。
実際、毎日コツコツと書いたマンガや小説を投稿する事で、中学生の子が月に1万円から3万円の報酬を得ているそうです。
子ども食堂に来ている児童養護施設の子供たちはみんな一生懸命で、私も頑張らないといけないと思えました。
そんな事を思いながら、フソウの背中に乗せてもらっている鈴音と、子ども食堂に向かって歩きます。
子ども食堂についたら直ぐにフソウにお水をあげます。
これは鈴音が率先してやってくれます。
その間に私は勝手口から子ども食堂に入り、フソウ用の晩ご飯をもらいます。
これはちょっと怖い食材なので、鈴音には見せられません。
フソウたちが大好きで、身体にも良いそうなのですが、未だに私も怖いです。
なんと、鶏の頭を嘴まで食べられるくらい柔らかく圧力鍋で水煮した物なのです。
フソウたちの身体に良い大好物だと言われても、最初は運ぶのも嫌でした。
ですが『自分たちのために奪った命は全て美味しく頂かないといけない』と白子さんたちに言われて、心から反省しました。
心から反省しましたから、自分はフソウに運んであげますが、とても鈴音にはやらせられません。
白子さんたちも、子供たちには絶対にやらせないようにしています。
もちろん、鶏の頭だけでなく、野菜の水煮もたくさんあげます。
フソウたちボディーガード犬にご飯をあげたら、私たちが早めのご飯、夕ご飯を頂きます。
最近はボランティアの人がたくさん来てくださるので、定食の品数が多くなっているそうですが、今日は多い程度ではありませんでした。
バイキングと言えば良いのかビッフェと言えば良いのか分かりませんが、今日は好きな料理を選べました。
デザートのカスタードプリンやフルーツゼリーばかりを選ぶ事はできませんが、麺類はケチャップスパゲッティ、ソース焼きそば、カレーうどんから選べました。
3つを少しずつ食べてもいいですし、白御飯は食べ放題です。
主菜は鶏の唐揚げ、チキンフライ、チキンメンチ、鶏ハムから選べましたし、全部少しずつ食べても良いのですが、お替りは茹でた野菜を全部食べてからです。
汁物の基本出汁はチキンなのですが、そのままチキンスープとして飲んでも好いです、自分で好きな味噌を加えても良いのです。
常連さんの中には、追加で中華麺やうどんを買って、好きなラーメンやうどんを作って食べていますが、無料で食べている私はそこまでやる気にはなれません。
ケチャップ味が大好きな鈴音は、スパゲッティばかり食べています。
食べ過ぎて嫌いにならなければいいのですが。
普段の食事では鈴音の好きな唐揚げが多くなるので揚げ物は止めて、麺類も食べずに、塩味の鶏ハムと白御飯に、貧血予防で鶏肝の甘辛煮を食べました。
昨日のお昼がカレーライスじゃなかったら、カレーうどんも食べていました。
鶏ハムがあまりにも美味しくて、身体中に電気が走るほどでした。
満腹になるまで白御飯、鶏ハム、チキンスープの無限地獄に落ちる所でした。
健康になるために、貧血にならないように、1食1個は鶏肝甘辛煮を食べると決めていなければ、無限地獄に落ちていました。
何とか理性を取り戻して、最後は茹で野菜で満腹にしましたが、本当に危ないところでした、親鶏のハムがこんなに美味しいとは思ってもいませんでした。
夕ご飯を食べたら勉強の時間です。
テイクアウト店のシフトに穴が開かない限り、将来の為の勉強です。
鈴音と並んで勉強するのは、やる気を奮い立たせてくれます。
鈴音が寝落ちする前に家に帰ります。
鈴音はフソウの背中に乗せてもらい、私は健康のために歩きます。
その時に夜食用と朝食用の焼きおにぎりと主菜副菜をもらって帰るのです。
今日はいつもより多くの料理が並んでいたので、鈴音の好きな料理を選んで持ち帰る事ができます。
朝食の定番になっている鶏の唐揚げだけでなく、私が心から魅了されてしまった、親鶏の胸肉を使った極上のハムも多めにもらって帰ります。
健康のための茹で野菜も多めにもらったので、今日は持ち帰る料理が重くなってしまうと思ったら……
「今日は鈴音が眠そうだ、これでは途中で眠ってしまう。
四郎、遊びに来ている施設の子と一緒に送ってやりな」
白子さんが四郎さんに私たちを送るように命じてくれました。
鈴音はまだ元気で、途中で眠ってしまうとは思えないのですが、素直に甘えます。
「ありがとうございます」
「気にしなさんな、利用できるモノは何でも利用して、子供を幸せにしな」
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