第5話 あたたかい

「稜太、それ高くない?」

「高いの?」

「これなら明後日までにどっちみち使うし、30円引き。2人だしそんな量つかわないからさ。」



ある日、2人で買い物に来ていた。


稜太はほぼ主夫。主婦?


かなりシビア。でもしっかりものを見て、お金を見て、先々の為に貯蓄までしてる。


頭が上がらない。。


給料は毎月全額降ろしてまずは翔へ。


そこから割り振りして僕は月5000円。電車代は定期券の分を別にくれる。




「かけ、おやつ。」

「どれ?後で一緒に見に行こう。」

「うん。」


「ねぇ稜太。」

「うん?」

「稜太ひじき苦手?」

「冷たければ大丈夫。」

「あー、おからと一緒か。」

「うん。基本、煮物は冷たいほうが食べやすい。」

「OK。お魚も白身で骨少ないのだから鯖とかになるかな。」

「ごめん。こまかくて。」

「食べれないよりマシ。」



────────────────── 帰宅後。


「かけー、」

「どした?」

「手伝う。」

「ありがとう。じゃあ。これ冷凍して。」

「あい。」

「これ、あの棚。」

「はい。。…これは?」


僕が好きなお菓子を見つけて嬉しそうな目をして聞くと、


「そのクッキーは稜太のケース」

「あい!…じゃあこれは翔のケース。」

「そうだね。」


僕らはお菓子で喧嘩することがある。

9割僕が何も考えないで翔のお菓子をとるから。

というより、『曖昧』『適当』『それなり』が理解できない。

だから、ケースで分けることにした。




────翔との日々は幸せだ、翔との日々は暖かい。


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