閑話 彼女が探し求めたもの

「ダメね、あの人は。基礎もなってないのにいきなり応用のことしようとしてるし。この前の人は逆に基礎ばかりで応用のことをしようとしない。悪くはないけど、打ち止めになるのよね〜」

私、柊なのははとあるものを探していた——実際には人だが。何を探していたかというと、自分の歌を引き出してくれる人だ。私は『夢野アカリ』という名義でシンガーソングライター兼VTuberをしていた。シンガーソングライターだから自分で曲を作ってそれを歌うこともできる。でもそれじゃ面白くない。どうせなら誰かが作った曲を歌ってみたい。ただ、私は名が知れすぎている。大手のコンポーザーなどは当然知っているし、お互いに親交もある。それ故に頼みづらいのだ。『知り合いだから』という理由での曲の提供は、たまに批判を買うことは分かっている。お互いそれを知っているから、たとえ会って話したとしても批判を避けるためにその手の話はしない。ならどうするか…その時思い浮かんだのは、まだ名が売れていないアーティストで、才能の原石を自分で探し出し、育ててその人に提供してもらうことだ。なかなか現金な理由だが、そうするしか方法がないと思ったからだ。

そんなこんなで半年前から人を探しているが、誰も私の理想にとどく人がいない。もう諦めるか、そう思いながら過ごしていた。その数日後、まさかあんなことになるとは…。


————————————————————ちょっと趣向を変えてみましたが、短すぎましたかね?

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