第5話 初投稿!Kanone!
今日で名義決めを初めて3日目。そしてどうやら頼んでいたMVの進捗がかなり良く、今日中には送ってもらえるとのこと。そのため、今日中に名義を決めきりたい。だが、今まで2日かけてもいい名前が思いつかなかった。そんないい名前なんてそうそう出てこないだろう。
一応今日もなのはさんと活動名義を決めるために話し合っている。しかし、お互い案を出し尽くしたのか、何もいいものが思い浮かばない。そうして時間が過ぎていき、約束の時間——MVが送られてくる時間になってしまった。
「アカリー、頼まれてたやつ出来上がったよー」
「ああ、ミラン、ありがとう」
ボイスチャットを繋ぐことになり、電話越しから女性の声が聞こえてきた。かなり綺麗な声音だ。
「曲がすごくいい曲だったからさ〜、他の仕事もあったけどそれら一旦ほっぽり出してこれだけ作るのに集中してた〜笑」
「あのさぁ、あんたのそういうとこ、昔から変わってないわよね。作業に没頭するのはいいけど、他のこと忘れないようにね」
「はいは〜い」
「全く、人の話ちゃんと聞いてんだか」
どうやら旧知の中らしい。しかしこの話を聞くだけだと、ミランさんがすごく自由奔放な性格で、なのはさんが面倒見の良い委員長的なタイプだと思った。
「で、急にボイチャの方がいいって言ってきたから、ボイチャにした理由なんかあるんじゃ無い?」
「話が早いな〜。相談事なんだけど、今回その曲作ったの、私じゃ無いのよね」
「え?マジ?クオリティ高くててっきりアカリが作ったものだと」
「その人と今から話してもらおうと思うんだけど、その人がお悩み持ちでね」
「ああ、な〜る」
「じゃあ彼に繋ぐね」
そうして俺が話す流れになった。
「ミランさん、初めまして。今回曲を作りました、山鹿理音と言います」
「初めまして〜。話聞こえてたみたいだけど改めて。アタシはミラン、フリーランスのイラストレーター兼編集をしてるの。アカリとは〜、まあ学生時代の腐れ縁?的なやつ」
話し方に少しギャルっぽさを感じるが、受け応えの仕方はしっかりしている。根は真面目なのだろう。
「んで、早速本題に入るけどお悩みって何?」
「えっと、すでにMVを作っていただいている中でなんですが、私の活動名義がまだ決まっていないんです。なので、ミランさんにお力添えいただければと」
ここを最後にしようと思い、ミランさんにこの提案をしてみた。もしこれでミランさんが思いつかなかったりとか、あまりよろしく無い名前が出てきたら、その時は最終手段の視聴者頼りにしようと思う。
「ん〜と、君の名前って、山鹿理音だったっけ?」
「あ、はい、そうです。それが何かありました?」
「う〜ん。あ、一つ思いついた!」
「本当ですか!?」
「Kanone。名前の中に入ってる漢字、鹿と音を組み合わせて『鹿の音』→『しかのね』→『かのね』→『Kanone』って繋がってからKanoneってなったよ」
Kanone、純粋にカッコいい名前だ。更にアルファベット表記なのもプラス加点だ。
「私は賛成だよ。理音くん、どう?」
「俺もいいと思います。ではミランさん、この名前、使わせていただいてもよろしいでしょうか?」
「全然いいよ〜。そのかわり、絶対大ヒットしてよね⭐︎」
「分かりました。誠心誠意頑張りますので、応援、よろしくお願いします」
「うん、がんばれ〜」
そうしてボイスチャットを切った。
「よし!これで名義も決まったことだし、曲を投稿しようか!」
「分かりました。えっと、投稿するときは、ここをこうして…」
タイトルもあらかじめ決めていたので、あとはサクサクと進んだ。
「それじゃあ、投稿します」
そうして俺の曲が世に放たれ、同時に、ボカロP『Kanone』としての活動がスタートした。
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