おとのみち

Yu

プロローグ

「ったく。なんでこんな日に仕事押し付けてくるかなあのクソ上司」

事務所でそんな事をぼやきながらひたすらに仕事をする。今日は大晦日だっていうのに、『これ期日ギリギリだから今日中に作り上げとけ』なんて上司が言うもんだから逆らえる事もなく、俺は絶賛社畜まがいの事をしていた。

(やってないのはお前のミスだろうがボケ)

もちろんそんな事を誰かがいる前で口に出して、耳に入ろうもんなら大問題だ。特にあの上司なんか、変な理由で人をクビにしかねないからな。

年末の予定も変更して、本来帰省するはずだったのを取りやめて、挙げ句の果てに仕事だとかホント狂ってやがる。いつでも上に訴えられるように報告書とかでも作っておくか。

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なんとか仕事を終わらせ、会社を出た頃にはすでに20時を回っていた。残ってる量多すぎだろホント、朝9時から始めてこの様だぞ。何かとあの上司には無理を押し付けられてきた。今日だってそうだし、これまでも明らかに規定を大幅にオーバーするような量の仕事を何事も無いかのように押し付けてきて、そのくせ自分は定時退勤。こちとら日跨ぐことがザラだぞ。

そんなこんなで帰宅中だが、大晦日という事もあり人通りは多く無い。俺も大晦日らしく蕎麦でも買って帰るか。スーパーに寄って蕎麦のパックと天ぷらを買って再び帰路につく。

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「やっと着いた…」

家に着いた頃には、時刻はすでに22時を回っていた。なんでこんな目に遭わないといけないのか、帰りながらずっと考えたが、答えは見つからなかった。

(まあ、いつかわかるか…あ…れ…?)

いきなり目の前が真っ暗になり、身動きもできず倒れ込んでしまった…

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「…きて、お兄ちゃん起きてよ」

うっすらと聞こえたその声で俺は目を覚ました。目が覚めると、すぐに目に入ってきたのは真っ白い天井、辺りを見回すと沢山の機械が自分に繋がっていて、その傍には父さん、母さん、妹、そして大家さんがいた。

「良かった…目、覚ましてくれた…」

妹が今にも泣き出しそうな表情で言った。母さんが安堵した表情で

「大家さんから、あんたが倒れたって連絡が来てギョッとしたわよ。大家さんが救急車呼んで、来るまでの間看病もしてくれて、私たちが来るまでも病院とかの対応してくれてたのよ」

母さんからそう聞かされ、大家さんには頭が上がらなかった。

今回倒れた原因は、間違いなく過労によるものだ。そりゃあそうだ。あんだけこき使われたんだ、過労でぶっ倒れても誰も文句言えないだろう。担当の先生には

「これ以上そんな生活してたら、いつかまた倒れますし、命もどうなるか分かったもんじゃないですよ」

と言われた(脅されたとも言う)。

そんな訳でその会社に退職願を出し、受理されたと同時に会社、もとい上司を訴えた。両親にあの報告書を見せたら『すぐにでも弁護士に相談しよう』といきなり言われたもんだからびっくりしたが、まあこの方が両親らしいっちゃらしい。タイムカードの履歴なども証拠として提出して、上司とは裁判沙汰にはなったが、明らかにこっちの方に分があった事もあり、訴訟が認められ、損害賠償を請求することができた。仕事も辞めた事でこっちにいる理由も無くなったため、実家にでも帰ろうと思ったが、「私が面倒を見ます」と大家さんが言って両親もお願いしちゃったもんで、大家さんとの同棲生活が始まることになった。







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こんにちはYuと申します。

この小説は別サイトさんの名前をお出ししますが「小説家になろう」さんの方で投稿させていただいてます。前々から、複数サイトでの投稿がしたいと話しておりましたが、なろう以外のサイトの勝手がわからず保留状態になっていたのですが、昨日を理解しましたので、こちらへの投稿を始めた次第です。

初回なのであとがきは丁寧に書いていますが、中身は高校生なので、次回分からめっちゃというほどではないですがあとがきもフランクになると思います。

もしよろしければ、なろうの方へも見に行ってもらえると幸いです。

PV数が伸びると執筆意欲も沸きますので。


それではまた次のタイミングでお会いしましょう。

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