第1章〜初恋の味は少し苦くて、とびきり甘い〜⑮
普段は、あまり自己主張をしないタイプのように思える同学年の女子生徒の想定外の返答に、
「
もしも、その対価として、彼の
保健室で確認した映像を思い出し、
ただ、四人の女子生徒たちの反応は、彼が想像したモノとは異なっていた。
「うむ……私たちには、
生徒会長の
「そうですね! スマホのゲームなら、運営が
会長の言葉に、中等部の
「そうだ、そうだ〜! ハリモトは、私たちに
微妙に言葉が違っているようだが、クラスメートの
そして、彼女たちの反応をみた生徒会長が、再び口を開いた。
「うむ……みんなの意見も同じようだな。そこで、私からの提案なのだが、
「えっ!?」
「おぉっ!」
「いいですね!」
それぞれの様子をうかがいながら、生徒会長は、あらためて、男子生徒に問いただした。
「さて、キミの返答を聞かせてくれないか、
しかし――――――。
そんな状況に待ったをかける、一人の女生徒がいた。
「ちょっと、待ってください! あなたたちと
声を上げて、生徒会長……だけでなく、四人の女子生徒たちに抗議の意志を示したのは、
切羽つまったような表情で反論しようとする彼女に、この補償案の提唱者である
「ほぅ……私たちと
あえて、下級生のフルネームを呼んだ生徒会長は、余裕の表情で
「そ、それは……」
リリムと呼ばれる少女たちの特性を詳しく知らないのか、あるいは、この場で、そのことを話すのは遠慮したほうが良いと判断したのか、
「では、申し訳ないが、口を挟まないでもらおう」
と、勝利宣言を行う。
そして、
「もし、私たちと
などと、さらに下級生を挑発するようなことまで宣う始末だ。
あえて、自分を
「わかりました……」
と言って、潔く引き下がった。
「物わかりの良い下級生を持って、私たちは幸せだな。さて、
剛腕を振るうように、どんどん話しを進めていく生徒会長の迫力におされ、
「じゃあ、これで決まりだね! でも、カイチョー、ハリモトと一人ずつデートするって言っても順番はどうすんの?」
パンッ! と勢いよく手を叩いた
上級生にも遠慮なく語りかける一年生の質問に、
「そのことなのだが……実は、この週末に私が出場する弓道の大会があってな……自分としては、ぜひ、
先ほどまで、自信にあふれる話し方をしていたのとは同じ人物と思えないくらい、控えめな態度で語るその様子に、
その緊張した空気を打ち壊すように、根っから明るい性格の
「お固いな〜、カイチョーは……ハリモトとのデートのアイデアを提案をしてくれたのはカイチョーだし、上級生を立てるって意味でも、ここは、最初の順番をカイチョーに譲っても良いと、アタシは思ってるけど……二人は、どう?」
彼女の問いかけに、ひかりは、
「そうですね。ここは、年長の人に敬意を払いましょう。私は、別に何番目でも良いですよ?」
と返答し、一方の
「私は……できれば、最後の順番が良いと考えているので、会長さんのお申し出に意義はありません」
と応じる。
二人の返答を確認した
「じゃあ、カイチョーは、一番バッターということで! ついでに、二番は、アタシがもらっても良い?」
と、ひかりに意志を確認する。
「えぇ、良いですよ」
笑顔で応じた中等部の女子生徒の返答に、喜びいっぱいの表情で
「やった〜! 最近は、二番打者最強説とかあるもんね! ドジャースのアノ選手も二番バッターだもんね」
と語り、野球のバットを右から左に振るような仕草をする。それは、右打席に立つ打者のバッティングフォームだ。
彼女たちの間で勝手に進む日程調整に口を挟む余裕もなく、
(北川さん、大谷翔平選手なら、左打席に立つと思うよ……)
というツッコミを心のなかで入れる。
幼少期と中学生時代の経験から、女子との会話に苦手意識を持つ
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