第1章〜初恋の味は少し苦くて、とびきり甘い〜⑩
「あの……
保健室に移動してきてから確認した映像と養護教諭の解説を聞いて、自身の置かれた状況を突きつけられた
彼の真剣な表情を受け止めながら、
「リリムの誘惑から逃れるには、三つの方法がある。一つ目は特定の交際相手を見つけて、彼女たちに付け入るスキを与えないこと。二つ目は彼女たちをキミ自身に惚れさせて魂を奪う気を失わせること。そして、三つ目は……
相変わらず淡々とした口調で語る養護教諭だが――――――。
彼女が語った三つの方法というのは、
特定の交際相手を見つける? そもそも、女子との会話が苦手な自分が、どうやって?
彼女たちを自分自身に惚れさせて魂を奪う気を失わせる? 地球が滅んでもありえない……。
「ほ、本当に、その三つしか方法はないんですか?」
切羽詰まった表情でたずねる男子生徒に対して、
「そ、そんな……」
保健医の無言の回答に、いよいよ絶望的な表情になった
「そ、そうだ、
アルバイトもしていない高校生が、どうやって、ハンターへの代金を払うのか、という疑問はさておき、その他の選択肢は、彼にとって測定限界値以下の可能性しかないと考えているため、
それでも、ひばりヶ丘高校の養護教諭の反応は、この男子生徒の期待するものとは、程遠かった。
「
「いや、でも……」
ことは、自分自身に降り掛かっている問題なのだ。この際、保健医のポリシーなど、自分の(精神的な)危機には関係ない! そう主張しようとした
「落ち着け、
そんな保健医の返答に、彼は、名指しされた同級生に視線を向ける。
「
「それは、ありがたいお話しですけど……
すると、養護教諭は、「やれやれ……ここまで言ってもわからないのか?」という、少々あきれた表情で、男子生徒の疑問に答えた。
「リリムたちに対抗する一つ目の方法は、『特定の交際相手を見つけて、彼女たちに付け入るスキを与えないこと』と説明したな。
「な、なんだってぇ~!」
思わず声をあげる
「おいおい……少年マンガ誌のミステリー調査班のように驚かなくてもいいだろう?」
と、注意をうながす。
しかし、その当事者である彼が、
「あっ、すいません……ただ、ボクたち令和の時代の人間なので……中年の方々が好みそうな前世紀のマンガのネタ? とかは、よくわからないです」
と返答したところ、眉間にシワを寄せながら、
「なるほど……キミが、女性との会話を苦手としている理由が良くわかった……今後は、発言に気をつけたまえ」
と語ってから、親指と小指に一気にチカラを込めた。
「ギャ〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
アイアン・クローの洗礼を浴びて、今度は、昭和のホラー漫画の登場人物のような叫び声をあげた
「
と、冷静に注意をうながした。
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