第16話

放課後、ジュースの元へ行くと、黒髪だけれど、前と同じように座っていた。


座りながら、寝ている。何かを持って。


こっそり近付いて、その手元を見ると。


卒業文集。誰のかをじっくり見てみると、そこには。


「鈴山 美月」


と書かれていた。あたしの、あたしが書いた覚えのない。あたしが書いたはずない文章。


「どういうこと……」


楽しそうな人になりたいです、と将来の夢を語っている。


あたしはまだ小学四年生だから、こんなの書いてない。


同姓同名か?そもそも、これはジュースの?


隣に置いてあった卒業アルバムに、手を伸ばした。


「鈴山美月」、六年二組。


写真に写る笑顔と、自分。そっくりだった。


幸せそうなジュースの寝顔。なんであたしの未来の卒アルが?誰?


ずっと気になっていた、ジュースの後ろにある扉。


音を立てないように移動して、ゆっくりと開けた。

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