ブレス、レッド。

酸性ラムネ@プロフ見て

第1話

家に帰ると、全ての力が抜けて、床に座り込んだ。


高校に上がってから、誰にも話しかけられず早一年。


足が痺れて、立てなくなった。制服の裾を握りしめて、体を丸める。


秒針が刻むリズムが心地よくて。


本棚の上に、ひとつ置いてある卒業文集が目に付いた。


ベッドに手を着いて立ち上がり、その頁を親指で割開いた。


「鈴山 美月」、私の名前。


テーマはありがちな、「将来の夢」だった。私の夢は、「楽しそうな人」。


「みんなと楽しく話せる、不思議といつも楽しそうな人に、なりたいです」


足の痺れが取れずに、何歩か後ずさって座り込んだ。


頭を掻き毟る。耳鳴りがして、カーテンに濾過された陽の光がさらにうざい。


クラスでは結局一人だから、慣れてるけど。小学生の頃はきっと頭の中がお花畑だから。


戻りたい、今より昔の方が華やかだった。今の私ならやれるから、だから。


小学生に戻りたい。純粋で単純の、あれに。


足を撫でると、耳鳴りが酷くなって、頭を誰かに殴られた。

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