黒鬼の異世界冒険譚〜何故かついてくる美少女達〜

@glitchman

黒鬼、異世界転移する

「ほーん、ここの酒も悪くないやん?」


そんなことを言いながら山のてっぺんで酒瓶片手に胡座をかく男。

しかしその男は明らかに普通ではなかった。


その頭には禍々しい黄金の角。赤い猫目。黒の髪に赤と白のメッシュが入った豪快そうな男。彼の名は黒嵐童子。彼は昔話でよく聞く鬼なのである。


「んー…酒も悪くないけどやーっぱ退屈やねんな〜…」


強者との戦いを何よりも好む黒嵐童子にとって、現代社会とはあまりにも退屈なものであった。しかし無闇矢鱈に人を巻き込んで戦う訳にもいかなかったため戦いたいと思ってもどうすることもできない。


「あーあ。いっそ他の世界に行ったらおもろい奴もおるんか?」


そんな普通あるはずもないことを呟く。しかしそんな時であった。


「おぉ?なんや?」


突如彼の地面が光出す。そこには魔法陣のようなものが光を発していた。


(なるほど、何かの攻撃じゃなさそうやな。それやったら、試しに引っかかってみよっかな?)


そんな呑気なことを考え、一切抵抗せず光に飲まれるのだった。


◆◆


「…お?どこやここ」


気づけば彼は知らない場所にいた。綺麗な草原、美しい木々、現代では中々お目にかかれないようなのどかな自然だった。


そしてそんな彼の前に四人の少女たちがいた。


「え?ど、どうしよう!悪魔召喚しちゃった?!」


茶髪のショートボブでどこか勇者のようなイメージを連想させる服を着た元気そうな少女。


「お、落ち着いて!こういう時こそ冷静に対処しないと…!」


ローブにとんがり帽子のいかにも魔法使いといった金髪の三つ編みをした大人しそうな少女。


「とりあえずぶっ飛ばせばいいだろ!やられる前にやれば!!」


騎士のような衣装をした赤髪のポニーテールの男勝りな少女。


「待ってください、悪魔は策なしで敵うほど弱くありません。今は撤退の方が…!」


シスターの衣装を纏った白髪の冷静そうな少女。


彼女らにはそれぞれ全く違う個性があったが全員共通なのはとんでもない美少女だということだ。しかし全くそんなことには興味のない黒嵐童子は


「…どないなっとんねん、これ」


と呟くのであった。

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