愛情を受け取ったわたしは、彼女に愛情を付与する人である

 ファーストキスの後は気が動転して彩瑛さんの家から逃げ出すように走り去ったあげく、夕立に振られてわたしも風邪をひいてしまった。病弱なのか木・金の二日間寝込み、土日をはさんで月曜日から、彩瑛さんとより一層、近い距離で過ごすようになった。

 平日は彩瑛さんのお弁当を作り、土日は彩瑛さんの家で掃除をし、課題をこなしながら土曜日はお泊り。通い妻の気分だったし、実際……私たちは一線をこえた。


「「んちゅ……じゅぶ、っちゅ」」


 二度目のキスはわたしからした。受け入れられたことが嬉しくて、押し倒して、あわてふためいて……結局、わたしがされる側だった。手籠めにされて、さんざん恥ずかしい思いをして、それでもいっそうに彩瑛さんが好きで、いとおしくなってしまった。

 ……彩瑛さんが美しすぎるのがいけないんだ。人を惑わして乱して……わたしの意思が弱いわけじゃない。


「んぁ……さ、えさん……らめ、もう……ひやぁあああ」


 わたしの中に彩瑛さんの指が入り込んで、かき乱す。自分で触るのとは比べ物にならない快楽の波が押し寄せる。

 夏休みになってから、わたしは彩瑛さんと同居している。わたしの両親には、友達の親が夏休み中海外に行ってしまうから、その友達の家で家事を手伝う……そう言って無理やり納得させた。親にあそこまでわがままを言ったのは初めてだと思う。


「……はぁ、はぁ、きゅう、けい……」

「ダメよ。まだ三回しかイかせてないでしょう?」

「ふぁ、ふぁい……」


 盛りの付いた獣のようにまぐわって、脳がやききれたように快感に沈んでいく。バカになってしまったんじゃないかってくらい、喘いで、はしたないことを叫んで、それでも彩瑛さんの熱を感じると幸せだった。

 何かに熱中するということがなく、飄々としている彩瑛さんが、えっちなことをする時だけは真剣な目をする。その目つきというか視線だけで、わたしは濡れてしまう。


「んぁぁあああ!!」


 四度目の絶頂に腰が浮く。お互いの敏感なところをこすり合わせているのに、いつも先にわたしが果ててしまう。でも、彩瑛さんも最後には満足そうな表情をしているから、感じてくれているんだと思う。


「ふふ、愛弥が感じすぎなのか、私に才能があるのか。他の娘で試してみたくなるわね」

「やらぁ……なんれ、そんなひどいこと言うの……?」

「あはは、可愛い。愛弥が可愛いから意地悪言いたくなるのよね。安心なさい、愛弥以外にこんなことしないわよ。ほら、舐めっこしましょ」


 わたしの目の前に彩瑛さんの腰が降りてくる。ぼんやりとした意識の中、条件反射のように彩瑛さんの蜜壺に舌を這わす。同じように、びしょびしょになったわたしのあそこを彩瑛さんの舌がなぞる。

 遮光カーテンで昼夜の識を失い、エアコンと羽根のない扇風機の音と……みだらな水音だけが響く部屋。繭のようでもあり……もっと残酷な、それこそ彩瑛さんという美しいクモの大きな巣に囚われた醜い羽虫、それがわたし。

 作り物の翼なら溶かしてしまいそうなくらいの熱で、すでに私は身も心も焦がされてしまったらしい。

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