第10話
2016年8月1日より、コウスケは小松崎の家で新生活を始めた。
同時に、それまで勤務していた
コウスケと(多香子と美香子の)父親が同じ方面へ通勤することになった。
このため、コウスケと(多香子と美香子の)父親は、近所で暮らしている三田尻さんの家の息子さん(35歳)が運転する車に乗せてもらうことになった。
朝7時頃であった。
家の前に、三田尻さんの息子さんが運転している白のニッサンエルグランドが到着した。
車から降りた三田尻さんの息子さんは、玄関の呼び鈴を鳴らした。
(ピンポーン…)
家の呼び鈴が鳴ったので、美香子が玄関の応対に出た。
「ああ…三田尻さんの息子さんね。」
「おはようございます…三田尻です…おとーさまとおむこさんのお迎えにまいりました。」
この時コウスケがものすごくイヤな表情を浮かべていた。
(多香子と美香子の)母親は心配そうな表情でコウスケに言うた。
「コウスケさん…どうしてイヤな表情をしているのよ…おとーさまと三田尻さんの息子さんが同じ方面へ通勤するのだから乗せてもらいなさい。」
「コウスケくん…行こうか…」
コウスケは、(多香子と美香子の)父親と一緒に三田尻さんの息子さんが運転する車に乗った。
その後、車は鶴見方面へ向かって走った。
家を出発してから30分後であった。
コウスケの新しい勤務先である鶴見小野の銀行の支店に到着した。
(多香子と美香子の)父親は、どぎつい声でコウスケに言うた。
「コウスケくん!!元気な顔で行きなさい!!夕方5時過ぎにまた迎えに来るから、しっかりと働きなさい!!」
その後、車が支店の前から出発した。
移動中の車内にて…
(多香子と美香子の)父親は、三田尻さんの息子さんと楽しくお話をしていた。
三田尻さんの息子さんは、
挙式披露宴は、10月の大安吉日の週末に挙げる予定である。
(多香子と美香子の)父親は『それだったらワシがお膳立てしてあげようか?』と言うた。
三田尻さんの息子さんはうれしい表情で『本当ですか?』と言うて喜んだ。
三田尻さんの息子さんのお嫁さんは、結婚後も銀行員として働いていた。
三田尻さんの息子さんのお嫁さんが勤務している場所は、こともあろうにコウスケが転勤した支店だった。
コウスケは、それが気に入らないからイヤな表情をしていた…
いいえ、それだけではないと思う。
コウスケは、他にもなんらかの不満を抱えていると思う。
それがなにかはわからない…
ところ変わって、コウスケが勤務している銀行の支店にて…
時は午後3時過ぎであった。
新婚で幸せイッパイのОLさんの奈美(24歳・三田尻さんの息子さんのお嫁さん)が10月の大安吉日の週末に挙式披露宴を挙げることが決まったので、職員たちが奈美のもとへ集まっていた。
『おめでとう』
『いいなぁ…』
『アタシも結婚したいわ…』
…………
幸せイッパイの奈美を見たコウスケは、ひとりではらを立てていた。
なんでぇ…
オレはどうして…
オレの人生がめちゃくちゃにこわれた…
コウスケは、転勤してそうそうにうつ状態におちいったようだ。
そして、夕方5時半過ぎであった。
コウスケが勤務している銀行の支店の前に、三田尻さんの息子さんが運転しているエルグランドが到着した。
「コウスケくん…帰ろうか。」
(多香子と美香子の)父親に言われたコウスケは、不満げな表情で車に乗った。
その後、車は東ヶ丘の家へ向かった。
コウスケは、何が気に入らないからはらを立てていたのか?
三田尻さんの息子さんと奈美の結婚自体が気に入らないのか?
それとも、小松崎の家に対する不満があるのか?
どちらかはわからない…
コウスケは、それとはまた別の不満要素を抱えていた。
お給料は41万円支給されるが、コウスケの手元に残るのはこづかい分の1万円だけであった。
残りは、全部(多香子と美香子の)母親の口座へ振り込まれるようになっていた。
だからて自由に使えるお金がない…
それもあるかもしれないが、コウスケが抱えている不満要素は他にもまだあると思う。
そしてまた時は流れて…
9月30日頃であった。
奈美と三田尻さんの息子さんの挙式披露宴を挙げる日が10月30日に決定した。
晩ごはんの時に(多香子と美香子の)父親がうれしい表情で家族に話した。
(多香子と美香子の)母親は『まあ、それだったらお膳立てをしてあげたいわね…』と言うてバイシャクニンを引き受けると言うた。
このあとも、奈美と三田尻さんの息子さんのオノロケ話が続いていた。
コウスケは、白ごはんが盛られているおちゃわんを手にしたあとガツガツガツガツガツガツと食べた。
コウスケの心の中に蓄積された怒りが急に爆発するおそれが出た。
幸せイッパイの奈美と三田尻さんの息子さん夫婦に、少しずつだが危機がせまりだした。
『好事魔が多し』…とは、このことを言うのか?
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