蛸は日本人の性的精神性に深く根付いている生物であり、春画にも描かれるほど芸術的価値の高い造形をしている

千織

第1話 タコ星人

昨今、宇宙人の侵略行為が増え、少年たちまで宇宙人と戦わなくてはならなくなった。


青少年地球防衛隊に選ばれたツバサとカイは、二人で夜の街をパトロールしていた。



「今日も無事に終わるといいね」


戦闘能力は高いが、気の弱いツバサが言った。


「俺はせっかく厳しい訓練をしてるから、少しは戦ってみたいな」


勝気なカイが言った。



しばらく歩くと、宇宙人が近くにいることを示す警告音が鳴った。


「どこにいるんだ!」


スマートウォッチ型の宇宙人探索器をかざすと、マンションの影から、ぬるっと地味に宇宙人が出て来た。

自分たちと同じくらいのサイズで、形はタコさんウインナーだ。


二人は銃を構えた。



『マ、待ってクダサイ。私はタシカニ宇宙人デスが、故郷の星が爆発して、新しく住める星を探しに来たダケナノデス。ドウカ、地球に暮らさせてクダサイ』


タコ星人は言った。

ツバサが調べると、確かにこいつはタコ星人で、言ってることも間違いない。



「本当にそうみたいだよ」


「じゃあ、基地に保護するか」


一般地域を宇宙人と移動するときは、宇宙人のエネルギー値を下げる手錠をかけなくてはならない。


「手錠……じゃ足りないよな」


足?腕?触手?


なんとも言えない、うにょうにょしたものが、細いのから太いのまでたくさんある。


「じゃあ、拘束縄にしようか」


ツバサは縄を出して、タコ星人の胴体にかけて、締めようとした。



『コンナ近くで地球人を見たのはハジメテデス。地球人はドンナ体をシテイルノデスカ?』


タコ星人は触手を伸ばして、ツバサの口元、胸元、太ももに触手を絡ませた。


「あ……え……ちょっと……」


触手は締め付けながらも、ツバサの服の中に入っていく。



「おい! やめろよ! 何してんだ!」


カイが触手に手をかけるが、力は案外強く、びくともしない。


「んっ♡ あっ♡ ちょっと♡ だ、だめぇ……♡」


ツバサがお色気たっぷりの声を出す。


「ツバサ!! しっかりしろよ!!」


タコ星人の触手が、器用にツバサのズボンのチャックを下げて静かに入り込んでいく。


「やめろ!! やめないと撃つぞ!!」


カイはタコ星人に銃を向けた。


『コウスルト地球人ハ喜ぶンデスね。デハ、アナタもご一緒に……』


そう言って、タコ星人の触手が伸びて来た。



友好的な宇宙人を攻撃するとペナルティがある。

この場合、どっちなんだ……!!



改めてツバサを見ると、自らタコ星人の太い触手を口に運び、「タコの味がする……」と言いながらはむはむしている。


もうわかんない!!


カイはその場から逃げ出し、応援を呼んだ。



戻ってみると、タコ星人がツバサの頭をなでなが、膝枕ならぬ触手枕をしていた。

ツバサはなんか、つやぁ、ってしてる。



このタコ星人は友好的な宇宙人として地球で暮らすことになった。

ツバサはそれ以来パトロールが好きになったみたいだ。


「また友好的な宇宙人に会えるといいね♡」


「あ、うん。そうだね……」


そう言ってるうちに、イカ星人がぬるっと地味に出て来た。

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