第180話 小鳥
ラヴァが頑張っていいガラスができた。今はまだ素材そのままのガラス。
何を作ろうか。
ハンスが献上品を国王夫妻に贈る。
アリファーンに誕生日プレゼントを贈る話からなんでこんな献上品騒ぎになったんだろうなあ。
そもそも、ガラス製品で芸術品ってないのかな?
王都にいるのに街に出たのはイオが一緒に王都見学に出た時だけだ。
あとは馬車で素通り。
あれ? そういうもの?
警備がどうたら貴族だからどうたらって言っていたから、出かけるにしてもいろいろしないと出かけられないしな。
貴族って、買い物行かないんだよね。
呼ぶんだ。
デパートの外商みたいに。
美術館はないようだし、自分の屋敷に飾る感じだよな。
絵はさすがにある。師匠の屋敷にもあちこち飾ってあるからね。
先祖代々の肖像画とかあるとは聞いた。
師匠の師匠を見てみたい気がするなあ。
実は肖像画は見せてもらってない。
師匠の家格は伯爵だから、上級貴族になるんだろうな。
文房具も職人にこういうのと注文して届けてもらう感じだ。
俺の部屋の書斎にもいつの間にか、羽ペンのストックが補充され、インクが補充され、紙が補充されていた。
紙は和紙だ。最初はルヴェール紙だったけど、西の貴族の和を表して、和紙。
きっとそのうち洋紙ができると思う。つるつるの紙見てみたいな。
思考がそれた。
オーア王国の象徴は炎の鳥。
鳥といえばガラス細工。
まだ少しヒヒイロカネが残ってるからそれを混ぜてフェニックスっぽくしようかな?
(何作るの?)
「今度はね、鳥さん」
(鳥? 飛んでいる?)
「そう。空を飛んでいるアレ」
(ギャアギャアうるさいの)
ギャアギャア?
(黒くておっきくって)
「待って、ラヴァそれ、ワイバーン! 魔物!」
(違うの?)
きょとんと首を傾げるラヴァは超絶に可愛い。
「朝チチチチとかチュピチュピとか鳴いてて小さいのだよ」
(あ、木の枝にいる小さいの!)
「そうそう」
炎の中からラヴァは俺の肩に飛び乗る。
(鳥さん!)
「見てて! 可愛いの作るから!」
俺は、ラヴァのガラス細工を作った時のように鉄棒や道具を用意した。
色はヒヒイロカネのラヴァの赤。
羽根の縁は金色に光るようにしたい。
被せるかな?
金箔を縁にあしらうとか。
光に当てたら、赤にも金色にも光るっていいよなあ。
国旗の紋章を思い浮かべる。
でも、やっぱり可愛くしたい。
シマエナガとはいかないけれど、文鳥やセキレイっぽいフォルムがいいかな?
一応作るのは小鳥サイズなんだし。
フェニックスはアオサギがモデルらしいけど、よく覚えてないんだよね。
フォルムはセキレイにしよう。
羽根の部分は金箔を被せてクリアガラスを被せる。熱で滲むとグラデーションになるはず。
境目が目立たないように、赤のガラスに溶け込むように。
地面にとどまってちょっと先の地面を見るような、小鳥のガラス細工。
足が細いと不安定だから、少し太めに。
尾羽が少し上を向いている。
嘴は閉じて小さめ。頭のフォルムは丸い。
目の部分は赤みを濃くして、頭からゆらゆら揺れる赤の色が流れるように尾羽に向かう。
お腹のところはややピンク色になった。
足も赤。
クリアガラスの光沢が、光を反射する。
(綺麗! 僕に似ている赤!)
「この色はラヴァの色なんだよ。火の精霊のラヴァの炎と一緒で、この鳥さんも炎の鳥なんだ」
(お山にいる?)
「ん?」
(火の鳥さん!)
「そうだね。火の鳥さんだね」
(僕とおんなじ!)
「うん。おんなじだね」
ラヴァは可愛いなあ。
俺はそっと小さな木箱に仕舞って、部屋に帰った。
翌日、ついその箱を学院に持ってきてしまった。
「みんな、褒めてくれるかな?」
その日の午前中は師匠の研究室だった。
研究室に行くとみんなポーション作りに余念がない。
「ルオ、一番遅いぞ?」
「師匠」
「鞄を置いて、こっちへ」
「はい」
それからポーションの実証実験。
作ればお金になる実験だ。
みんなの目が金貨に見える。
昼までの間に休憩を一回とることになっている。
「師匠、これ見て」
俺は箱を見せた。
「これは、小鳥……じゃないな。国旗の紋章に非常に似てるが」
「炎の鳥さんだよ」
師匠が頭を抱えた。
「先生、どうかなさったんですか?」
アリファーンが側に来た。
ふっと、頭をよぎった言葉。
「召喚、フェニックス」
口から勝手に出ていた。
『ここはどこなんや。どないして我ここに?』
エセ関西弁の鳥が召喚された。
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