桜見

望月(もちつき)

桜見

それは風のように右から左に抜けていく

掴もうと思って

サラサラと

指先を通り過ぎていく、桜吹雪


手のひらには空白だけ

目に見えない、姿のない言葉の糧が

積読された本のように、積まれていく


それを、

忘れてしまう私は

何度もくり返し、求め続ける

あなたの残した言葉を確かめるように


***


音に意味をつけた

たしかなものが欲しかったから

 ことばを付ければ

 届けられると思った

それが一方的であったとしても、わたしは花を咲かせたい


いま、聴いているあなたに  

桜の雨を届けよう

                              

美しいお花見ができるように

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桜見 望月(もちつき) @komochizuki

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