赤ちゃん転生したら2人の英知な魔女に拾われました ~落ち込むと両側からサンドしてくれて乳のパワーまじ凄い、この膨らみに感謝してチートスキルで最強の魔道具師めざします!~
第22話 七緒少年のチートスキルは成長中
第22話 七緒少年のチートスキルは成長中
リュイエールの鼻から、血がぽたぽたと流れ始めた。
ぼくはそれを見つめて動揺し、目を閉じてしまう。
もうほとんど時間が残されていない。
誰が見てもそう思うだろう。
だけどしかし――
固く目を
くわっと目を見開き、ぼくの
まん丸く開いていた瞳孔が、縦に一筋、細いスリットになった。
通常、闇夜なら乏しい光量を求めて、瞳孔は限界まで開かれる。
けれど妖狐の見つめるモノは、この世ならざる光。
通常の光など、むしろ邪魔でしかなかった。
光を排除し光を視る。
ぼくの見つめるモノは、魔力の流れ「気脈」だった。
リュイエールの姿が色を失くし、透明なガラス細工のように見える。
全て透けて、リュイエールに流れる気脈がハッキリと見えた。
血流のように流れる体内の気脈は、白銀に輝いていて、その中に赤い気脈が数多く混じっている。
ゾンビに嚙まれた右腕から赤い流れが広がり、リュイエールの全身に回ろうとしているのだった。
「くっ、リュイエールっ」
それを見て、ぼくは気持ちがくじけそうになる。
だけどまだだっ。
まだリュイエールは完全なゾンビになっていない。
ぼくは下唇を噛みながら、辺りをきょろきょろと見まわした。
そんなぼくに十数体のゾンビが襲いかかる。
吞気にしゃがみ込んできょろきょろする獲物など、ゾンビが見逃すはずもなかった。
しかしその
お師さまは残りのゾンビも粉砕しながら、ぼくへ鋭く声をかけた。
「何やっているのナナオっ!」
「お師さま、この子をお願いしますっ!」
「えっ!?」
ぼくはそれだけ言うと、脇の階段を駆け上がり家の中へ入る。
後ろからお師さまの声が聞こえた。
「ちょっとナナオどこへ行くの!?」
ぼくは家の中に入ると、迷わず台所へ向かった。
家の者はとっくに逃げて無人だった。
運が良ければこの大凶事を逃れて、どこかで生き延びているだろう。
屋内は星明りも届かない暗闇なので、ぼくは瞳孔を通常に切り替えて、目当てのモノを探す。
「あったっ!」
ぼくが見つけたモノ。
それは台所の高い場所に飾られた、星形のオブジェだった。
五教教会のシンボルである五芒星☆を
結構なお値段がするけれど、大概の家の台所にはこれが飾られてあった。
ヒノモト風に言うなら、台所に
ぼくは背が届かないので、
むんずと掴んで、まん丸な瞳孔をスリットへと切り替えた。
☆型の御守りの中には魔法陣が描かれており、魔法陣の気脈(魔力)の動きが見える。
「えっとえっとこの線が、あーだからっ」
ぼくにはお師さまの教育の下、魔法陣の知識が叩き込まれていた。
魔法陣は魔道具作りには不可欠で、将来お師さまをお手伝いしたいぼくとしては、必須科目なのである。
まだ勉強中でちょっと知識があやふやだけれど、そんな事を言っている場合じゃない。
魔法陣に書き込まれた神代文字と気脈の動きから見て、この御守りがそこそこ、魔道具として機能しているのが分かった。
お値段分くらいは、家の中へ幸福を招き入れてくれると思う。
「でもやっぱり弱いっ」
ぼくは単品では使えないと判断して、また物色し始めた。
テーブルの椅子にかけてあった買い物カゴをひっつかみ、星の御守りを突っ込む。
その他には塩の詰まったガラス瓶と、包丁を3本カゴに突っ込んで、深夜のお買い物は終了だ。
急いで玄関先のリュイエールの元へと戻る。
「リュイエール待っててっ、ぼくが絶対死なせないから!」
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