第5話

モルスにチュートリアルを受ける場所に案内されているのだが


「なあ、まだ目的地に着かないのか?」


「後少しで着くはずよ。ほら、見えてきたわ」


そう言われ、視線を先の方へ移すと、まだ距離があるが扉らしき物が見える。そして、モルスから



「それにしても、フーマは凄いわね」


「凄いって、何が?」


称号の事を言っているのかな?


「この回廊は、その者が持つ潜在能力によって長さが変化するの。案内をするのは、初めてだけど、多分これからフーマ以上の長さの持ち主は現れないと思うわ」


潜在能力ねぇ、これ以上強くなり過ぎてもなぁ。称号の効果だけでも、化け物なのに、更にフェルスやモルスが仲間として戦ってくれる。でも、強い武器は欲しいな




「さあ、着いたわ。中に入りましょう」


やーっと、扉の前に着く。扉が見えてから、歩き続けていたんだけど、一向に近づく気配が無い。まるで蜃気楼を見ているみたいな感じで、1時間程歩いて漸く辿り着く。モルスが扉を開け、中へ入るよう促す。やれやれ、やっとチュートリアルが始まる【ピコンッ!】


部屋に入った瞬間に通知音、、、嫌な予感がするが、確認しないとな。メニュー画面から確認をする



『スペシャルクエスト「呪われし武器の擬人化を成功させよ」』


擬人化?なぁにそれ?しかも、チュートリアルを受ける筈なのに、何故スペシャルクエストが発生してるの。諦めて続きを読むか


『このクエストは、『職業:全呪統』のチュートリアルとなっております』


なるほど、俺が全呪統だから発生したのね。しかし、擬人化ってどうすれば良いんだ?続きを読む


『呪われた武器は、通常と違い意思が宿っているので、意思疎通し、主として認められれば、クエストクリアとなります』


とりあえず、武器に認められれば良いのか



「フーマ?ボーっとしてるけど、どうかした?」


「ああ、部屋に入ったら急に、クエストが発生してね」


「そうなの?」


「それで、武器がある場所に、案内して欲しいんだけど」


「それなら、こっちよ」


モルスに武器が置かれている場所に、案内してもらう



「この部屋が、武器庫になっているわ」


「案内ありがとう。ちょっとフェルスを、預かってて欲しいけど良いかい?」


「良いわよ」


フェルスをモルスに渡そうとした時、フェルスが起きる


「「「んーー、主。何処に行くの?」」」


「起きたかフェルス。ちょっと、俺の使う武器を探して来るから、モルスと一緒に待っててくれ」


そう言いながら、モルスへ渡す


「「「分かったー。主、行ってらっしゃい」」」スンスン


フェルスは、モルスの匂いを嗅ぎ出す


スンスン「「「、、、zzz、、」」」


俺の時と一緒で、モルスのたわわな胸に身を埋め、匂いを嗅ぎながら寝るフェルス。羨まし、、、じゃなくて、これなら安心してクエストを受けられるな



「じゃあ、フェルスの面倒宜しく頼むよ。まあ、フェルスは寝ているけどな」


「ふふっ、そうね。この状況だと、私達まるで子持ち夫婦の様ね♪」


悪戯っぽい笑みを浮かべ、モルスがとんでもない事を言い出す。NPCのはずなのに、感情が豊かだよな。もしかして、最初に説明した人みたいに、運営の誰かなのかな?まあ、気にする程の事でも無いな


「そうだな。じゃあ、行って来るから、子供達の事を頼んだよ」


冗談には、冗談で返してあげないとね


「ええ、任せて頂戴。行ってらっしゃい、ア・ナ・タ♪」


「ぶっ!!、、、ゴホッゴホッ、、今、貴方って」


「ふふっ、冗談よ。行ってらっしゃいフーマ」


まさかの返しに同様してしまった。本当にモルスはNPCなのか?まあ良いや、クエストをやるか。モルスにフェルスを任せ、武器庫に入ると





「やーーっと、来た。どれだけ待たせるのよ!」


「おお!漸く来られましたか主殿」


「、、、遅い」


「ぶひひ。主、待ちくたびれたんだな」


「やっとお会い出来て光栄です、主様!早速で申し訳ないのですが、御命令をお願い致します」



あるぇ~入る部屋、間違えたのかな?ここって、武器庫だよね?辺りを見回すのだが、武器は何処にも見当たらない。まさか!【ピコンッ!】デスヨネー、、はぁ、通知を確認するか




『スペシャルクエスト「呪われし武器の擬人化を成功させよ」クリアおめでとうございます』


分かってたけど、何だかなぁ。続きを読みますか


『クエスト報酬は、擬人化に成功した全武器となります。尚、武器としても使用できますが、擬人化された武器達は、召喚魔法『百鬼夜行』に組み込まれる為、魔法を行使し続ければ、共に行動可能です。武器が破壊された場合、無くなる事はありませんが、復活迄のクールタイムがゲーム内時間で、3日間掛かりますので注意して下さい』



これは、共に行動しろって事なのか。まあ、消費SP0だから良いけどさ。それに、破壊されても消えないのは、嬉しい誤算だ。だからとは言え、破壊させるつもりは無いが



『更に、今回のクエストクリアした事により、『職業:全呪統』が『職業:呪死王じゅしおう』に進化します』


、、、はあ?職業が進化だと!確かに職業が進化する事は知ってたけどさ、でもそれは、一定のレベルを上げないと出来ないんじゃ無かったのか?それとも、俺のCurseだけ条件が違うとか。まあ、最後まで読んでから考えよう


『尚、『職業:呪死王』になった事により、召喚魔法『ネクロマンシーLv.1』強制取得、職業効果により消費SP0。召喚Lv10まであるので、頑張って育てて下さい。最後に、全武器の擬人化に成功されたので、特別報酬がございます。特別報酬に関しては、今後のアップデートが行われた時に配布予定です。それでは、冒険の旅をお楽しみ下さい』



全て読み終えたが、、、新しい召喚魔法か。これは、後で確認するとして。今は、目の前に居る人?達の確認からだな



「えーっと、君らは、俺の扱う武器(?)で、良いのかな?」


俺の質問に、漆黒の鎧を着ている騎士が答えてくれる


「はい、主様。私達は主様を、お守りする為の道具になります。何なりと御命令を」


「いやいや、こうして会話が出来る君らを、道具としては見れないよ」


「あ、、主様、、」ドバァー


兜を被っているので、顔は見れないが感動して、隙間から大量の涙が流れ出ている



「うわっ!きったない涙、引っ込めなさい」ゲシッ


魔女の格好をした、ロリっ娘に蹴られて、騎士の涙が止む



「それと、アンタ。迎えに来るのが遅すぎよ。どれだけ待ったと思ってるの」ビシッ


ロリ魔女っ娘は、俺を指差しながら文句を言ってくる


「それは、待たせてしまって申し訳ないと思う。済まなかった」ペコリ


色々、漁って遠回りして遅くなったので、素直に謝る


「ちょっ、、ちょっと、止めなさいよ。アンタは、アタシ達の主人になるんだから、簡単に謝らないで」アタフタ


口はほんの少し悪いが、チョロいロリ魔女っ娘だな


「何か、変な名称を付けられた気がするわね」


「変な名称ってのは、分からんが。自己紹介してもらえるかな?」


ロリ魔女っ娘が、鋭いので話題を変える




「それもそうね。じゃあ、アタシから自己紹介するわ。アタシは『禁呪の杖:ローリエ』よ。出来る事は、杖での撲殺と【呪:氷:闇】の魔法を使えるわ。特に氷系が得意よ」


ステータスを見れるのかな?、、、おっ、全員見れるな


【禁呪の杖:ローリエ】

【所有者:フーマ】


HP:2000

SP:15000

友好度:MAX

STR:500

DEX:3000

VIT:200

AGI:150

INT:5000

MND:5000

LUK:800


ロリ魔法っ娘は、ローリエと言うのか。見た目的にも、火や光属性には弱そうだな



「次は、拙者でござるな。拙者の名は『妖刀:血切桜ちぎざくら』。この刀で傷を付けた相手の血を使い色々な事が出来るでござる。後この姿であれば、抜刀術も得意でござる」


【妖刀:血切桜】

【所有者:フーマ】


HP:4300

SP:1300

友好度:MAX

STR:5300

DEX:1200

VIT:3600

AGI:5700

INT:30

MND:50

LUK:400


これぞ、ザ・サムライって感じの、紅い着流しを着ている血切桜。その紅いのは返り血じゃ無いよね?



「、、、、、私は『呪弓じゅきゅう:エルミタ』、、魔法を矢に込めての狙撃が得意。接近戦も少しなら出来る」


【呪弓:エルミタ】

【所有者:フーマ】


HP:1800

SP:7900

友好度:MAX

STR:1700

DEX:20000

VIT:1800

AGI:2500

INT:2500

MND:3800

LUK:1000


見た目は、ダークエルフっぽいエルミタ。狙撃が得意と言っているが、射程距離はどれだけあるのかな?



「ぶひっひ、おでの番なんだな。おでは『苦無呪くないじゅ亜々吸永苦ああすえいく』なんだな。得意なのは、諜報と暗殺なんだな。後、お宝探しが好きなんだな」


【苦無呪:亜々吸永苦】

【所有者:フーマ】


HP:300

SP:3000

友好度:MAX

STR:1600

DEX:2800

VIT:100

AGI:18000

INT:600

MND:700

LUK:77777


おっと、コイツは予想外な体型の亜々吸永苦。デップリとしたお腹がCuteですね。そんな体型なのに、諜報と暗殺が得意って、確かに忍装束っぽいのを着てるけど。後は、宝探しが好きって、そのLUKのぶっ壊れ加減を見ると納得してしまう



「最後は私ですね。私は『呪剣じゅけん:オンジュ』と申します。得意な事とは違うのですが、この呪剣を使って半径100㌔程度なら問題無く更地にする事が出来ます」


【呪剣:オンジュ】

【所有者:フーマ】


HP:8600

SP:5900

友好度:MAX

STR:12000

DEX:3000

VIT:9500

AGI:3500

INT:200

MND:500

LUK:10


全身漆黒装備で固めている、オンジュ。声も、男か女かよく分からない存在だな。しかし、半径100㌔を更地に出来るとは。今、会った中では強さに関しては、一番のぶっ壊れかな?亜々吸栄苦とは打って変わって、LUKが低過ぎるのが気になるが



「それじゃあ、俺も自己紹介しないとな。俺の名前はフーマだ。呼び方は任せるけど、なるべく主呼びでは無くフーマと呼んで欲しい」



俺の言葉に、武器(?)達から



「分かったわ。アタシはフーマって呼ぶわね」 ローリエ


「拙者は、フーマ殿とお呼び致します」 血切桜


「、、フーマ」 エルミタ


「ぶひぃー。おでは、フーマはんと呼ぶんだな」 亜々吸永苦


「では私は、フーマ様と呼ばせて頂きます」 オンジュ



五人(?)から、それぞれの俺の呼び方を言ってくれる。全員ぶっ壊れな事に関しては、もう開き直って気にしない事にしよう。フェルスやモルスも居るからな



「それで、聞きたい事があるんだけど。俺が、武器を使う時はどうすれば良いんだ?」


その言葉に対し、ローリエから衝撃発言が飛び出す



「何馬鹿な事言ってんのよ。フーマは私達の後ろから、指示を出せば良いの」


「えっ!、、俺も、武器を使って戦闘したいんだけど」


「フーマ殿は我々の主ですので。戦闘に関してはローリエの言う様に、拙者達にお任せ下さい」


「いや、だからね、、」


「フーマは、私達の所有者なのだから、私達が戦闘するのは当たり前の事」


「確かに、所有者ではあるけど」


「ぶひっ!安心していいんだな。フーマはんに、敵は近付けさせないんだな」


「それは、安心できるな。でもね」


「フーマ様。私達は皆、フーマ様に忠誠を誓っていますので、私達の願いを聞いてはくれませんか」



皆、真剣な眼差しで俺を見る、、、、はぁ、武器を使って無双する事は諦めるしか無いのか。強力な魔法があるからそっちを上手く使うしかないか



「はぁ。分かったから、そんな顔をしないでくれ」


俺が、皆の真剣な眼差しに折れると、ワーっと皆が喜び叫ぶ



「分かれば良いのよ。フーマの敵は、私の得意な氷魔法で氷漬にしてあげる♪」


「安心するでござるよ。拙者達がフーマ殿の敵を、薙ぎ払うので」


「、、、、、私が、守るから安心して」


「ぶひっぶひひっ。フーマはんの為に、情報収集は任せて欲しいんだな」


「フーマ様。願いを聞き入れてもらい、ありがとうございます。何があろうとも、フーマ様には指一本触れさせませんので、ご安心下さい」



思っていた事と全く違う方向に向かっているが、仲間が出来るのは素直に嬉しい事だ。でも、他の武器も同じ様に擬人化するのかな?擬人化出来たら、プレイヤー俺一人で軍隊を作れるって事になるよな?



もし出来るのであれば、全プレイヤーから魔王、いや職業的に呪死王かな?と呼ばれるのを目指してみるのも、面白いかもな














~ 某部屋 ~


「チーフのお気に入りの子が、またやってくれましたね」


「あははっ!そうね♪まさか、私が色々仕込んでいたのを、全て正解するなんて思わなかったわ」


「そのお陰で、とんでもない集団が生まれたんですけどね」


「別に良いじゃない【Freedom of Good and Evil Online】は、善悪問わず自由にプレイ出来るのが売りなのだから」


「そうなのですが、一ヶ月後に控えている【Freedom of Good and Evil Online】初イベントの事を考えると、他のプレイヤーからクレームが殺到しそうなので」


「クレームが来ても、仕様ですと答えるだけよ。それで、離れて行くのなら所詮、それだけのプレイヤーだったって事よ。それに、彼には初イベントで大暴れをして欲しいからね」


「確かに、最近は善悪共に、攻略やレベル上げばかりですからね」


「そうなのよ。プレイヤーの大半が、同じ事ばかりしてるのはつまらないわ。もっと、他の事にも目を向けないと強くなる事は出来ないのに」


「それは、先入観があるので仕方が無いと思いますよ」


「その点、彼は凄いわ!まさか、私が調べても情報があまり無かった、マイナーな女神様を知っているのだから」


「その、女神様を出現させる条件が、無茶苦茶な筈なのですが」


「でも、彼は条件を満たして、更に女神様を従神とした」


「その条件が、無茶苦茶だって言っているのですよ。何ですかコレ?」


「私だって、まさか達成出来るとは思わなかったわよ。本当に彼は楽しませてくれるわね」


「それに、職業も冒険に出る前に進化させてますし」


「職業の進化条件は、レベルは関係無いんだけどね。それに、彼の魔法も極悪仕様にしてあるから、初イベントでどんな事をやってくれるのか、楽しみね♪」


「もう、彼がこのゲームのラスボスなのでは?」


「そんな事は無いわよ、彼に対抗出来る『職業』が幾つかあるからね。まあ、彼と同じ様に『ランダム』を発生させて、更に当たりを引かないとダメだけどね。でも、『呪死王』になった彼を止めるのは無理でしょうね」


「そうですよね。もしかしたら、その『職業』持ちが、彼の仲間になる可能性もありますよね」


「それはそれで、面白くなるからオッケーよ♪」


「そうならない事を祈ります」


















~後書きみたいなもの~


死の女神モルスの出現条件


1 職業は、全呪統である事

2 プレイヤーの能力値を全て均等にする事(HPやSPも含まれる)

3 チュートリアルを受ける前に、民家(廃屋)全てを回る事

4 呪殺犬を従魔とする事

5 1~4までの事を、ゲーム内時間で3日以内で行う事


因みに、チュートリアルでモルスが出現しない場合は、教会内に住んでいる元村人の怨霊達の中から、ランダムで選ばれ受ける事になっています

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