美鈴、なんか逃げたみたいだね

 ここは闘技場の通路。

 ドラバルトとファルスは、通路を走っていた。そう、何かを破壊したような音が微かに聞こえてきたからだ。


 そして現在、ドラバルトとファルスは音がした方へと走り向かっている。


「あの音は、何かを破壊した音だ」

「ああ、オレも微かに聞こえた」

「ファルス、なんか嫌な予感がする……急ぐぞ!」


 そうドラバルトが言うとファルスは頷いた。


 ✶✲✶✲✶✲


 ここは美鈴とミィレインが居る特別観覧席。

 あれから美鈴とミィレインは、魔王崇拝派の二人と戦いを続けている。と言っても、ほぼ美鈴とミィレインはみているだけだ。


 そして美鈴は現在、メニュー画面をみていた。

 魔王崇拝派の二人は、あらゆる攻撃を美鈴とミィレインにしている。だが、当たらないようだ。


(あと五分か。効いている時間が分かるようになったから、能力を続けて出せるんだよね)


 そう思い美鈴は、メニュー画面を操作し始める。

 すると、見張りをしていた魔王崇拝派の一人が部屋に入ってきた。


「二人共、まずいわ……ドラバルト様が誰かとこっちに向かって来てる」


 それを聞き魔王崇拝派の二人は、攻撃をやめる。


「悔しいですわ。ですが、ここは撤退するしかありません。次は、必ず仕留める……首を洗って待っているといいのかしら」

「そういう事です。では、早く逃げましょう」


 それを聞き可愛い雰囲気の女性は頷いた。

 その後、魔王崇拝派の二人は扉へと駆けだす。


「待って! なんでウチのことを狙うの?」


 美鈴はそう問いかける。

 すると、可愛い雰囲気の女性は立ちどまった。そして振り返ると、美鈴へ視線を向ける。


「なぜ狙われたか? 自分の胸に聞いてみたらどうかしら」

「分からないから、聞いてるんでしょ!」


 それを聞くも可愛い雰囲気の女性は、仲間と共に部屋から走り出ていった。


「いったいなんなのよ。あーあ、ツボ割っちゃった。これ……あとで弁償だよね」

「そうニャるわね。これ……相当な金額がとぶわよ」


 そう言われ美鈴は苦笑する。


「とりあえず片づけよっか」


 美鈴はそう言い片付け出した。

 それをみたミィレインも片付け始める。


 ✲✶✲✶✲✶


 美鈴とミィレインが片付けをしていると、息を切らしドラバルトは部屋に入ってきた。


「ハァハァハァ…………ミスズ……いったい、これは何があったのだ!?」


 そう言いドラバルトは、周囲をみたあと美鈴のことが心配になり視線を向ける。


「これは……酷いな。ミスズ、何があった?」


 ファルスは部屋に入るなり、余りにも部屋の中が酷かったためそう問いかけた。


「ドラバルトにファルス、んー……実はね――」


 そう言い美鈴は、ミィレインとさっきまで何があったのかを説明する。


「……覆面に黒装束、なんで狙われたのだ?」

「ドラバルト、それが分からないの。逃げる間際に聞いたけど、自分の胸に聞けって……どう考えても心当たりがなくて」

「なるほど……ドラバルトだけではなく、ミスズも狙われているという事だな」


 ファルスはそう言うと、真剣な表情で考え始めた。


「えっ! ドラバルトもなの?」

「ミスズ、ああ……断言はできんが……そうらしい」


 そう言うとドラバルトは、険しい表情で無作為に睨んだ。

 そしてその後も美鈴たちは、片付けながら話をしていたのだった。

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