美鈴、色々と心配ですね
ここは竜人の里ドドリギア。その里の西側には、蔵が数軒建っている。そして奥の方には、一軒の古びた家が建っていた。
その建物内には、五名の男女がいる。だが黒ずくめの服と覆面をしていた。
「……ドラバルトが生きていて、この里に戻って来たって噂は本当なのかしら」
「それについてなのですが、まだ本人か確証を得ておりません」
「そのため、闘技大会を久々やるらしいわよ」
「ああ……そうらしいな。ワシも出たかったが今はやることがある」
「確かに……今は、女神崇拝者をどうにかせんとな」
どうやらこの五人は魔王崇拝者のようである。
その後も五人は話をしていた。
――場所は、里長の屋敷に移る――
ここは屋敷内の美鈴のために用意された部屋。なぜか隣はドラバルトの部屋だ。……まあ親心なのだろうが、余計なお世話だと思う。
美鈴は荷物の整理をしていた。そうしばらくここに滞在するため、タンスや籠に持ち物を入れていたのである。
その様子をミィレインは、フワフワ浮ながらみていた。
「結構、異空間に物が入ってたなぁ。ここにくるまでの間に、色々な物を買ったから……って自業自得かぁ……ハァー……」
そう言い美鈴は苦笑する。そう必要ない物まで買っていたのだ。
(そういえば、今頃エリュード達はどうしてるのかなぁ。連絡したいけど……その手段もないし)
そう思いながら窓の方へ向かった。
窓までくると美鈴は外の景色を眺める。
「ここは高いせいか、眺めが良すぎて遠くまでみえる。エリュードはこの世界のどこかにいるんだよなぁ」
そう言い美鈴は、俯き涙ぐんでいた。
――場所は変わり、ドラバルトの部屋――
その頃ドラバルトは、ベッドに横になり考えごとをしている。
(父上はなんで急遽ダブルベッドを俺に? いくらなんでも一人じゃ広すぎるんだが。
それに……どうして隣の部屋が美鈴なのだ? んー……それも隣には扉を開ければすぐに行ける。これでは、ミスズを…………いや……ハハハハハ……)
何を馬鹿なことを考えてるんだと、ドラバルトは妄想を掻き消した。
(そうだな。俺はミスズのしもべとなった……護る義務がある。そうなれば、近くにいた方がいい……そういう事だ)
そう解釈することにする。
(さて、三日後か……久々に腕がなる。だが……少し体を動かしてくるか? 大会までには、体をつくっておいた方がよさそうだ)
自分の体をみながらそう思った。
その後ドラバルトは部屋を出ると、屋敷内にある道場のような場所に向かう。
――場所は、里内にある広場に移る――
この広場には、カップルが多く来ていた。
それを羨ましそうにゴライドルは、木の椅子に座りみている。
(今日はいつもより、カップるが多い気がする。ハァー……まあそんなことはいいか。
それよりも……里長のあの様子だと、やっぱり本物のドラバルトだよな。
でもそれを証明するために、闘技大会を三日後に開く……まぁ俺たちが言ったんだけどな。恐らく余裕でドラバルトが勝つだろう。
……それならそれでいい。だが、あのミスズとか云うヒューマン……いったい何者だ? 守護精霊を連れているってことは女神と関係があるのか……)
そうこう考えていた。
「まぁ大会後に、何か分かるだろう」
そう言い立ち上がる。
そしてその後、ゴライドルは歩き出した。
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