第一章《証明と始まり》
美鈴、ドラバルトが疑われているみたいです
ここは竜人の里ドドリギアの船着場。
美鈴たちが船着場を出ようとすると、三名の竜人に静止させられた。
「お前たちは何者だ? それになんで竜人を連れて歩いている!」
赤紫で三つ編みをした男性に、そう問いかけられる。
「……もしかしてゴライドルなのか?」
「なんでオレの名前を知ってるんだ?」
そう言いゴライドルは、ジーッとドラバルトをみた。
ゴライドル・バルデン、年齢不詳。因みにドラバルトの幼馴染である。
そう問われドラバルトは、名乗った。
「俺だよ! ドラバルトだ」
それを聞きゴライドルは、疑いの眼差しをドラバルトに向ける。
「おい、ふざけるなよ! ドラバルトは、何千年も前に死んでるんだ」
「そのことについては、事情があってな……」
そう言いドラバルトは、今まで何があったのか説明した。だが納得してもらえない。
「もし本当のドラバルトなら……」
「なあ、ゴライドル。嘘を言っているようにもみえんのだが」
銀色の長い髪の男性はそう言いドラバルトを見据える。
この男性はセルジギス・アバル、年齢不詳。まぁドラバルトよりは若いのだろう。
そう言われゴライドルは悩んだ。
そう本当はドラバルトをみた瞬間に、もしかしたらと思ったからだ。
だが死体はみていないにしろ、死んだ者が生き返る訳もない。ここに居る者は、似ているだけで別人だ。
そう言い聞かせていたから余計にである。
「んー……なぁゴライドル。それならさぁ、闘技大会で証明したらいいんじゃないのか」
青で短い髪の男性はそう提案する。
この青い髪の男性はガセドラグ・ドベラ、年齢不詳。この三人の中では若い方だ。
そう言われゴライドルは考える。
「確かにその方が、本物かどうか分かる。本当にドラバルトなら、オレたちに余裕で勝てるからな。だが里長に聞かないと無理だ」
「ゴライドル……どのみち里長の所に、この者たちを連れて行かないと」
「確かにセルジギスの言う通りだ。それから判断してもいいか」
そう言いゴライドルは、美鈴たちを順番にみた。
「……あくまでも、本物だと理解してくれんのだな。まあいい……それならば、大会が受理されたら……それを証明するまで」
ドラバルトはそう言うと、ニヤリと笑みを浮かべる。それと同時に、ゴライドル達三人を凍てつくような眼差しでみた。
「まあいい……全ての判断は里長に任せる。……ついてこい!」
そう言われドラバルトは一瞬ムカついたが、なんとか堪えゴライドル達のあとを追う。
その様子をみていた美鈴とファルスとミィレインは、複雑な気持ちであとを追いかける。
そして美鈴たちは、里長の屋敷に向かったのだった。
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