「無」能力だけど有能みたいです〜無能転移者のドタバタ冒険記〜②《激闘の章》

ミケネコ ミイミ♪

序章《プロローグ》

美鈴、目的地に着いたみたいですよ

「待って! なんでウチのことを狙うの?」 


 そう言い美鈴は逃げようとする者を追いかけた。


 改めて紹介しておこう。

 武野羽むのう美鈴みすず、二十三歳。この世界の女神である水を司る女神スイクラムにより召喚される。

 だが好みじゃなかったため美鈴は、野獣の住処に飛ばされ処分されそうになった。

 それをみていた使い魔のヴァウロイに助けてもらう。その時ヴァウロイから自分の【無】能力について教わる。

 その後、美鈴は能力を使いヴァウロイと共に野獣たちから逃げた。

 その様子をみていたエリュード・グリフェに助けられる。そうこの時、エリュードと運命の出逢いをしたのだ。

 その後、知り合った仲間を交えレインライムの町に辿りついた。だが生きていることに気づいたスイクラムにより美鈴は、ネツオン大陸にあるドラギドラスの洞窟へ飛ばされる。

 ここで美鈴は、エリュード達と離ればなれにされてしまった。

 その洞窟でドラギドラスと仲良くなる。すると監視していたスイクラムは、マグドラスをドラギドラスの洞窟に転送した。その後、美鈴はマグドラスと戦うが敵わない。

 その時、能力の言霊の文字が【効】と表示された。するとドラギドラスが、自分にかけられている術を無効化してくれと言ってくる。

 それを聞き美鈴は、能力を使いドラギドラスにかけられている術を無効化した。

 自分にかけられている術を無効化してもらったドラギドラスは、本来の姿である竜人へと姿を変える。

 そう本当の名はドラバルト・バッセルと言い、かつての魔王テルマ・K・ティムの配下である四帝の一人だ。 

 その後、ドラバルトとマグドラスは戦う。だがその途中マグドラスは、本物のドラバルトだと気づき和解する。

 それをみていたスイクラムは、美鈴を別の場所に転送しようと試みた。だがそこに駆け付け居合わせたファルス・ヒダネオルに助けられる。このファルスは、ここと別の世界ホムノオズの神だ。

 名前は炎を司る神ファイグである。

 その後スイクラムは、ファルスの能力により拘束され動けなくなった。そして衛兵型精霊六体によりスイクラムは、全ての神を統べるゼルウナスの下へ連行される。

 そしてスイクラムは、反省の色をみせなかったため牢へ入れられた。

 美鈴はそのことをドラバルト達から聞き良かったと安堵する。

 そして美鈴はここで知り合った仲間たちと船に乗り、このネツオン大陸を旅立った。

 と、こんな感じである。


 美鈴を狙い逃げていたが、その者は立ちどまった。その者は覆面をしているため顔がみえない。


「なぜ狙われたか? 自分の胸に聞いてみたらどうかしら」


 その覆面のしたからは、可愛い声が聞こえてくる。


「分からないから、聞いてるんでしょ!」


 そう美鈴が言うもその覆面の女性は、そのまま姿を消した。


「いったいなんなのよ。あーあ、ツボ割っちゃった。これ……あとで弁償だよね」


 そう言い美鈴は片付け始める。



 ――そして数日前に遡る……。


 この世界はスイラジュンム。水を司る女神スイクラムが創りし世界だ。だが現在、この世界に女神スイクラムの加護は存在しない。

 そう現在、スイクラムは全ての神を統べるゼルウナスにより処罰を受け牢に入れられたからだ。そのためこの世界には、神が不在となっている。

 しかし今は、ゼルウナスの命により他世界の神である炎を司る神ファイグがこの世界を監視していた。

 そうファイグはスイクラムから美鈴を救ったまでは良かった。だがこの世界に干渉してしまい一定期間、自世界に戻れなくなってしまう。

 それもありその一定期間、このスイラジュンムの様子を調べ監視することになったのである。

 そのためファイグは、ヒューマンの姿であるファルスとして美鈴とドラバルトとミィレインと共に旅をすることになった。

 まぁ解説は、このぐらいにしておこう……。



 ここは竜人の里ドドリギアの船着き場。周囲には高い山が聳え立っている。

 現在、美鈴とドラバルトとファルスと守護精霊である水の猫のミィレインは船着き場に降り立った。


「うわぁー、高い山がいっぱいだなぁ」

「ミスズ、そんなに珍しいのか?」

「うん、ウチの居た世界にもあるんだろうけど。住んでたところには、大きな建物ばかりだったから」


 そう言いながら美鈴は、キョロキョロと辺りを見回す。


「んー……聞いていたよりも人が多い気がするんだが」

「確かに、ファルスの言う通りだ。それに……我が種族以外の者もいる。これはどういう事だ?」

「そうね……どちらかといえば、竜人族よりも多い気がするわ」


 ミィレインはそう言いながら美鈴の肩のあたりを、フワフワ浮いている。

 そして美鈴たちはその後、話をしながら歩き出したのだった。

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