第22話 BBQだぁ! やっぱりお肉は美味しいな

 部屋に食材を取りに行くグループと、ホテルの貸し出しサービスから必要なものを借りてくるグループに分かれる。

 

 部屋には成瀬さんと涼さんに取りに行ってもらい、遥と柊さん、そして俺でフロントへ行き、借りれる場所を聞いた。


 その後、必要なものを貸し出してもらい、三往復ほどして全て運び終えた。

 そして、準備を始める。

 

 まず日よけになるタープテントを張った。

 骨組みを通して四角錐型に布を張り、四角の足を伸ばす。

 あとは風で飛ばないようにペグと呼ばれる杭を刺して固定し、完成だ。


「よーし! テントは完成だ。あとは……」


 折りたたみ式のテーブルを広げ、椅子を展開する。


「できたぁ! ……それにしても、あっついなぁ」 

 

 遥が満足げに言いながら、テントの影で一息つく。柊さんも同じくテントの影に入って、暑さから逃れている。


「お疲れ様。いい感じにできたな」


 俺も汗を拭いながら言う。海風が心地よく、少し涼しい気分になる。


「そうですね。さぁ、少し休憩したらまた再開しますよ」

 

 5分程、休憩しただろうか、そろそろ再開しようと思い、


「じゃ、次はバーベキューコンロを準備しようか!」


 と、二人に向けて言った。


「よーし、やろう」

「はい!」

 

 三人で説明書を見つつ、コンロの設置に取りかかる。

 砂浜の安定した場所にコンロを置き、炭を並べる。火起こし器を使って炭に火をつけ、うちわであおぎながら火が起こるのを待つ。


「お、いい感じに火がついたね」


 俺が言うと、遥と柊さんも笑顔で頷く。ちょうどその時、成瀬さんと涼さんが荷物を持って戻ってきた。


「お待たせー! 食材と飲み物持ってきたよー!」


 クーラーボックス三つを台車に乗せ、運んできてくれた。


「ありがとう」


「どうってことないさ。そっちこそ、テントもコンロもバッチリだね。さすが!」


 涼さんが感心た様子で言う。

 俺たちは荷物を受け取り、テーブルの上に広げる。新鮮な野菜やお肉、海鮮などが次々と並べられ、豪華なバーベキューの準備が整っていく。


 紙皿と紙コップに割り箸、焼肉のたれを用意し、準備は万端。あとは肉を焼くだけだぁ!!

 

「じゃあ、みんなで焼いて食べようか」


 涼さんが言うと、みんなが笑顔で賛成する。

 「やっぱり肉からでしょ!」といい、涼さんが肉から焼き始めた。

 網の上でジュージューと音を立てながら焼かれるお肉の香ばしい香りが漂い、食欲がそそられ涎が出そうになる。


「もうよさそうかな?」

「そうだね、生の部分が無くなってるから食べれるよ」

 

「「「「「いただきまーす!」」」」」


 みんなでお肉を取り分け、口に運ぶ。

 ジューシーなお肉が口の中で広がり、みんなが満足そうな表情を浮かべる。


「うっま!」

「美味しいですね」

「美味い!」

「うん、美味しい!」


 それぞれが感嘆の声を上げながら、お肉を堪能する。

 

「こんな美味しいお肉、海辺で食べるとさらに美味しく感じるね!」


 遥が嬉しそうに言うと、みんなが頷きながら次々と食べ物を口に運んでいく。

 焼きたてのお肉や野菜、そして海鮮が次々と焼いていき、みんなの胃袋が満たされていった。


「これ美味いよ!」


 そう言って遥は口に肉を運ぶ。


「どれどれ」

「これだよ」


 同じ肉を追加で焼いてくれた。

 パックを見ると牛肩ロースと書かれている。

 俺もその肉を口に運び、じっくりと味わった。脂が程よく乗っていて、噛むごとに旨味が広がる。


「うん、美味しい!」


「次は野菜も焼いてみようか。さっぱりしてていいかも」


 と、成瀬さんが提案する。


「賛成! じゃあ、ピーマンとコーン、にんじんを焼こう」


 そう言って、涼さんが網に置き始めた。


 野菜もすぐに焼けて、みんなで取り分ける。野菜の甘みが引き立ち、お肉とはまた違った美味しさが口の中に広がる。


「うん、野菜も美味しいね。バランスよく食べるのがいいな」


 と、柊さんが微笑む。


 そして次は海鮮類をクーラーボックスから取り出し、網に乗せていく。


「次はこのエビを焼こうかな」


 成瀬さんも大きなエビを網の上に置いた。エビの殻がパチパチと音を立て、甘い香りが漂う。


「このエビも絶対美味しいだろうなぁ」


 涼さんがわくわくしながらエビを見つめる。焼けたエビを取り分け、みんなで一口ずつ味わうと、その甘みとプリプリの食感に感動した。

 

「うん、美味しい!エビの甘みが口いっぱいに広がりますね」


 柊さんが笑顔で言いい、みんなも同じように満足げに頷く。


 バーベキューなんて久しぶりにしたが、楽しいものだなぁ。それに今日は快晴で、良いバーベキュー日和だ。


 それからジュースを飲み、次々とお肉や焼き鳥、海鮮類を焼いていき、全て堪能した。


「お腹いっぱいだ」


 もう食べれん。

 俺が満足げに言うと、みんなも満腹だと口々に言う。みんなの表情を見ると、充実した気持ちが伝わってくる。


「ちょっとゆっくりしようか」

「そうだね」


 俺はテントの影でくつろぎながら、海を眺める。波の音が心地よく聞こえる。


 それからも、涼しくて快適なテントの下で休み、時々、海でビーチボールやフリスビーを使って遊んだ。


 そうこうしていると日が傾き始める。

 涼しさが増してきて、さらに心地よく感じる。そして「さぁ、そろそろ片付け始めようか」と、涼さんが声をかけてきた。


 「だね。片付けようか」


 俺たちはテントを畳み、テーブルや椅子を片付け、使った食器やゴミをまとめる。

 三往復ほどして、全ての借りた道具を返却し、ゴミをゴミ箱に捨てた。

 

 先程までバーベキューをしていた場所は綺麗さっぱり元通りになった。

 

「今日は本当に楽しかったな」


 涼さんが言うと、みんなが頷きながら笑顔で頷く。


「ねぇ、写真撮らない?」


 成瀬さんがそう提案する。


「良いね。撮ろ!」

「いいよ」

「賛成!」


 最後にみんなで写真を撮り、記念の一枚とした。


「また来たいね」


 遥が言うと、みんなが口々に賛成する。


「うん、絶対にまた来よう!」


 俺たちはそう約束し、ビーチでの楽しい一日を締めくくった。夕焼けの美しい空を見上げながら、みんなでビーチを後にし、ホテルに戻る。


 その後は温泉を堪能し、就寝時間となった。

 どうやら女風呂しかないらしく、俺は部屋に備え付けの風呂に入ることとなった。


 悲しい……。


 男性が少ない関係上、作ると維持費だけが嵩むんだろうなぁ。仕方のないことだろうけど、旅行といったら温泉なところもあるし、残念。


 次があれば、男風呂があるところを選ぼうって提案するか。


 みんなは今頃、温泉に行ってるんだろうなぁ。露天風呂あるって言っていたし。

 良いなぁ。


 そんなことを考えつつ、風呂から出る。しばらくして、みんなもワイワイ感想を話しながら戻ってきた。


 ……旅館浴衣を着る四人。似合うね〜。

 

「さて……じゃんけんだな」

「ええ、誰が阿宮くんの隣で寝るか」

「場所は二つ。勝ち抜けで良いよね?」

「異論無し」


 急に真剣な表情をして何かと思えば、場所の話か。

 隣は激戦区ですね〜。

 こういうことにも慣れてきた俺は、結果を見守ることにした。

 

「じゃあ、最初はグー、じゃんけん……ポン!」


 みんなの手が一斉に動く。

 

 あいこだ。

 人数が多いとそうなるよな。これは長い戦いになるぞ。


 それが何回か続き、ついに勝者が決まるのであった。


「————あいこでしょっ!」



 

 勝者は————————。

 

 



 

  

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