十一章
学祭
時は流れ、学園祭当日。
心地よい日差しで目が覚めた。
ベッドの上。
もう見慣れた天井だ。
なんだかんだ1週間以上ここにいるからね。
そりゃ慣れもする。
ノアは学園祭の準備で忙しいらしく。
同じ王都にいながら最近はあまり会っていない。
色々と頑張っている様子。
まぁ、学生のレベルでも結構大変だからな。
俺はすぐ辞めちゃったから。
こっちの世界での学園祭の経験はないが。
前世の記憶として。
積極的な生徒ではなかったがそれでも面倒だった。
そんな記憶がある。
そして、貴族やら商人の子息やらばかりの学園。
前世よりよほど盛大だろうし。
学校側となればそりゃそうなるか。
普段の業務に加えてこれだもんな。
ほんと、お疲れ様としか言いようがない。
やりがいの大きい。
そんな仕事ではあるのだろうが。
いかんせん。
業務の内容が多岐に渡る。
逆に言えばそれだけ責任の強い仕事だし。
とことん俺には向かない仕事だ。
ノアの話安請け合いしなくて良かった。
心の底からそう思う。
しかし、なんだかんだあっという間だったな。
突然受付嬢から手紙渡された時は何事かと思ったが。
学園祭へのお誘い。
そっから飛竜なんて贅沢な移動手段使って。
二十数年ぶりの王都。
ノアと再会し、レストランで食事なんて慣れない事したり。
そこで相談受けて。
勢いで生徒に魔法教えるなんて不慣れなことしたり。
……あれ?
思い出が王都来てすぐに集中してる様な気が。
まぁ、学園祭近づくにつれ。
ノアがどんどん忙しくなってったからね。
暇な時間はずっと飲み歩いてたし。
そりゃそうなるか。
屋台の店主にもかなり訝しげな視線を送られてた気がする。
色々あったけど。
今日のトーナメント終わったら帰るんだもんな。
ちょっと名残惜しさすら感じる。
ずっと避けてきた訳だが。
国の首都だからね。
様々なものが集まるし、人も多いし。
もったいなかったな。
ま、これからは毎年来ることになるだろうし。
取り返していこう。
あ、ちなみに。
メスガキとはあれっきり会っていない。
いやね、もう教える様なこともないし。
俺は教師ではないのだ。
たまたま1日だけ教えただけで。
そもそも経験ないし。
魔法も全部感覚だからね。
あれ以上、細かいことは教えられない。
壁は乗り越えたのだから。
後は自力で頑張ってもらうって事で。
そこサポートするのは。
ノアとか学園の先生方にお任せである。
別に怖いわけじゃないよ?
刺されそうとか。
そんなこと、全然思ってない。
伸びをして、ベッドから起き上がる。
外出るか。
まだ学園祭行くには早いと思うんだが。
何となく。
普段なら時間が許す限り。
ただゴロゴロしているのだけど。
実は、テンションが上がっているのかもしれない。
遠足前の小学生じゃないんだからって話だが。
やはり幾つになっても。
イベントごとが控えてると思うとそうなってしまう物だ。
宿を出て、大通りの方へ。
王都の道並みも慣れた物だ。
流石に広いから。
全体はまだまだだけど。
宿の周辺。
それと学園への道のり。
後は屋台が並ぶ庶民街の通り。
ここらは完璧である。
見慣れたからこそ気がついたのだが。
普段より、多少街が活気付いてる様な気がする。
人通りはいつも多いのだけど。
本当に何となく。
学園のお祭りで王都自体は関係ないんだけど。
大きめのイベントではあるからか。
その影響なのだろう。
セキュリティーの関係で関係者以外中には入れないが。
庶民向けの催しとか学園の周りでやるっぽいし。
ただ、そっちよりも影響ありそうな物が。
貴族というより。
多分、大きめの商人の子供が入学してる影響かな。
どこの世界にも親バカはいる訳で。
大なり小なり馬鹿げたことをやらかすのだが。
金持ちになると。
そのやらかしの規模が大きくなる。
学園祭を記念してなのだろう。
デカデカと割引の文字を掲げた横断幕が。
横断幕だ。
屋台が何軒か掲げてるとかそんなレベルではない。
通りにかかってる。
多分、元締めのとこの子供なんだろうな。
朝の時点でこれだが。
ここからさらに。
活躍したらプラスで値引きがあるらしい。
トーナメントとかで勝ち上がったらって事だろう。
そりゃ、活気付く訳だ。
正直商人の子供が好成績を残す可能性は低い。
貴族とは違う。
血でのアドバンテージもないだろうから。
相当な古い商人でもない限り。
でも、ここの屋台にはお世話になってるからね。
俺も応援したくなって来た。
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