第5話 オカルト部

昨晩は色々あったが、僕は今日もしっかり学校に来た。

長くなった髪は切ってもらい、真っ白になった髪は染めてもらった。もちろん先生の許可ありで、だ。

それでも学校に来た僕は偉い。本当に偉い。誰か褒めてくれ。

そうしていつも通りのホームルームが始まる。

「起立、気をつけ、おはようございまーす」

「「「おはようございまーす」」」

室長に続いてだるい挨拶が続く。

「えー、今日は編入生が来ます」

担任が、いつものテンポで言う。

ザワつくクラス。当たり前だ。入学したばっかで転校生って。まだクラスメイトの名前も顔も覚えていない状況でそんなことあるのかよ。


ガラガラガラ……


「はぁーい!やっほーー!!!」

どこか聞き覚えのある声。どこか聞き覚えのある明るさ。

僕より少し高い身長に包帯か何かを巻き付けたよく分からない髪型。

「初めまして!!私の名前は間邪まじゃそら!あ、世界史の間邪まじゃ瑞雲みずも先生のいとこでーす!!」

なんで???え??

「じゃ、先生、うしろの席空いてるんでそこ座りますね〜」


クラスメイト皆がポカンとしている中、ホームルームは終わった。

「やぁ、てるてる」

そう言って近づいてくる空さん。

「なんでいるんですか」

少し小声で聞く。

「私は君の監視役だよ?四六時中いるに決まってるじゃないか」

「だからといって空さん成人してるでしょ?」

「こら、てるてる。私たちはもうクラスメイトだ。そこは呼び捨てで呼ばないとね。まぁ、成人してるけど私以外に適任がいないんだ。仕方ない。歳は隠して生活するしかないね」

そう言って立ち去っていった。

「なに?あいつ、あんたの知り合い?」

えっとこの女子誰だっけ……この前、いや、昨日会った……誰だっけ

「まぁ、一応知り合いではある……」

「一応ってなあに」

急に後ろから空さんの声がした。いつの間に……?

「私は君の監視役。君を置いてどっかに行ったりはしないよ」

そうやって小声で耳打ちしてきた。どうやら彼女には聞こえてないらしい。

「やぁ、珠数木すずのき華凪かなちゃんだっけ?私は空。1年間よろしくね。あと、部活も一緒だから仲良くしよ!」

え、まだ部活、決まってないはずじゃ……

「……もしかして、あんたも……」

「そう、私もこのてるてると同じ、カブトムシだよ」

え?ん?カブトムシ?カブトムシ……。あ、あれか悪魔が憑いてる人のこと言うんだっけ?で、そうだ、珠数木すずのきは確か『輪っか憑き』だっけ……

「ってことは部員は3人?」

「そうだね、部員は3人になるね。いやー楽しみだよ、部活動とかやらなかったからさ、合宿とか、誕生日パーティとかするんでしょ?ワクワクだよね!!!」

にっこにこで話す。

え、あ、待って、僕、部活入るの??え、嫌だよ、やだやだ。帰宅部でいい。っていうかずっと帰宅部がいい。

「てるてる?」

「……はい」

「カブトムシとドーナツの部活は強制だよ〜。」

ニタァーと嫌な笑みを見せる空さん。 やだやだやだ。やだよ。

「……ちなみに、何部ですか?」

「敬語もダメー!私たちは友達!敬語はなし!はい!リピートアフターミー!!」

「……え?」

「ほらほら」

「わたしたちはともだち……けいごはなし……」

「はい!よく出来ました!!それでは、話の続き!私たちの部活は、オカルト部。主にカブトムシやドーナツの場所。そして、それについて学ぶ部活だ。表の活動内容としてはよく分からない心霊スポットに行ってみたりとかするんじゃない?しらんけど。あ、顧問は瑞雲みずも先生ね」

空さん、瑞雲みずも兄って呼んでるイメージがあったから先生って呼ぶのは新鮮に感じた。

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