第19話 藤原仲麻呂の台頭
「おはこんにちわ。ふーぎです。前回は、元正上皇が崩御する所まで語りましたね。今回は其の続きですよ」
「まぁ、上皇が亡くなったのなら。聖武天皇も真面目に政務に励むだろう」
「……と誰しもが思ったのですが。聖武天皇はそうでもなく。あれ、元正上皇が亡くなったってことは、上皇の席空いてるよね。責務ある天皇の地位しんどかったんだ。( *´艸`) と、ほざき始め。娘に天皇の地位と責任を投げ出し。隠居と言う形で、上皇の地位に居座ります」
「最初から最後まで政務しねぇのかよ!」
「こうして、聖武天皇が上皇となり。娘の孝謙(こうけん)天皇が即位しますが。孝謙天皇には実権がなく。実質的な実権は……」
「聖武上皇が持つんだろう」
「いいえ。聖武上皇の妻、光明子が握ることになります」
「そっちが握んのかよ!」
「孝謙天皇は母である光明子に強く言えず。それを良いことに、光明子が外面も憚らず。自らの血統である藤原氏の再建に向けて動き始めます」
「藤原氏の再興が遂に始まるんだな」
「光明子が藤原氏の中で最も目に掛けていたのは、前回の遷都に付き添った藤原仲麻呂でして。式部省(人事を掌握する省)に入れると。藤原仲麻呂は橘諸兄の配下を悉く左遷し。宮中をキレイキレイします」
「ハンドソープみたいに言わないでくれる!」
「藤原仲麻呂が権勢が高まる中、聖武上皇は高齢から崩御し。橘諸兄も老衰で亡くなると。最大の政敵がなくなった藤原仲麻呂は横暴さを増していき。それに歯止めをかけようと橘諸兄の息子、橘奈良麻呂(たちばなならまろ)を中心に藤原仲麻呂を誅殺せんと動き始めます」
「決起の計画が練られ始めたんだな」
「ええ。ですが、この決起。初めから漏れに漏れており、光明子が「決起しないでね。これは、ふりじゃないわよ。本当にふりじゃないわよ! 聞いてるの、橘奈良麻呂!」ってな感じで牽制してましたが。橘奈良麻呂は「……これって、決起しろってことだよな」と判断し。決起を進めていきます」
「押すなよ、押すなよ、みたいになってるじゃねぇか!」
「首謀者の一人が捕らえられ。拷問にかけられると。決起の内容を吐露し。この内容を元に橘奈良麻呂らは捕らえられ。数多の人物が杖によって殺されます」
「杖によって殺される?」
「杖下にて死す。と書かれているので。文字通り、拷問の末に殺されたのでしょう」
「…………」
「これら一連の騒動を橘奈良麻呂の変と言います。橘奈良麻呂の変が落ち着くと。光明子は病弱になっており、藤原氏と繋がりの強い皇子を次の天皇に任命します。其処で選ばれたのが、藤原仲麻呂と親しかった皇子、淳仁(じゅんにん)天皇でした」
「淳仁天皇ね」
「孝謙天皇は天皇大権を一度も行使することなく。上皇になります。上皇になったからと言って、何か得られたかと言うとそうでもなく。ただ、お飾りとして上皇の席に座らされたのです。母である光明子の、藤原家再興の妄執に付き合わされた。孝謙上皇はノイローゼ状態に陥ります」
「まぁ、そうなるだろうな」
「孝謙天皇が地位を譲った為、淳仁天皇の時代になります。淳仁天皇は元々、天皇に成れる地位ではなかったため、自分を推してくれた藤原仲麻呂に感謝の証として。新たなる姓、恵美(えみの)を授け。押勝(おしかつ)をと言う名を授けます」
「つまり、恵美押勝(えみのおしかつ)と。で、どういう意味があるんだ」
「人民を「恵む美」が優れており。戦いに「押し勝つ」力を持っている。それを略して、恵美押勝と言います」
「すっげぇ当て字だな」
「まぁ、そんなこんなで。藤原仲麻呂は恵美押勝の名を貰うと更に増長し始め。藤原氏すらも見下し始めます。おっと、此処にインタビュー記事がありますね。(恵美押勝さん。藤原氏の印象はいかかですか?)「……ん? 藤原氏、強いよね。古代、中世、近世、隙がないと思うよ。だけど、おいら負けないよ。(これからの抱負をお願いします)えー、えみゅ、ゴホン。恵美氏が躍動する時代を、皆さんに見せたいね」
「ないよね、そんなインタビュー記事、実際にはないよね!」
「まぁ、こんな感じで藤原仲麻呂じゃなかった、恵美押勝(笑)が増長し始めますが」
「(笑)はいらないよ!」
「後ろ盾であった。光明子が亡くなると、その権勢に曇りが見え始める。といったところで、今回は終わりにしましょうか。次回、藤原仲麻呂の没落、をお送りします。それじゃあ、まったねぇ」
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