最恐カノジョは愛も強い。
菓子月
第1話 プロローグ
「なっなぜここにお前がいるんだ…!?
・・・
俺。
ことは三日前———、
高校三年生になった俺は入学当初から片思いをしていた、
須本さんとは正直あまり話したことがない。
というよりは、緊張して話せなかったというのが本音。漫画や小説によく出てくる校内一美少女ヒロインのような存在ではないけれど、図書委員の彼女は文系でとてもおしとやか、誰にでも優しく話かけるし時折見せる笑顔が美しい黒髪ロングのメガネっ子だ。
あと実は胸も大きい、規則正しい着こなしをしているが彼女の胸は決しておしとやかではない。これも彼女を表す上でとても重要なところだ。
ちなみに校内一の美少女と言われている女子も同じクラスにいるのが、俺には眼中にない。そいつは必然的にも学年カースト一位になるわけで陽キャな彼女はどんなに美少女でも俺からしたら苦手なものは苦手だ。
一方俺はクラスで空気のような存在。コンプレックスのくせっ毛に顔面は高望みしないが中の中ぐらいだと信じたいところ。教室ではほとんど机を動かず空いた時間には趣味の読書であるライトノベルを読み、お昼休みにはボッチ飯を、、、ではなく中学の頃から仲の良かった親友とクラスが違った為自分のクラスを移動して一緒に食べている。教室では無口なのだが心の中ではこの通りお喋りだ。我ながら性格がひねくれていると自覚している。
人間関係も恋も奥手な俺はクラス分けで知り合いがいない新環境になじむ事ができなかった。いつの間にか周りはグループ化。別に特別クラスメイトにハブられているとかではないので何とも思ってはいない。放課後は俺の好きなライトノベルも貸し出している図書室に通うのが日課であったため、図書委員の白奈さんとはよく顔を合わせていたのだ。
まぁ、そんな事もあってか気づけば好きになっていた。
クラスでは彼女の事を目で追い、図書室では半分彼女目的で通うようになっていた。
三年目にしてやっと人生で初めて告白しようと一大決意した俺は、勇気を振り絞って彼女の下駄箱に手紙を、つまりラブレターを入れたのだ。彼女の魅力を書き文末の最後には「もしよろしければ、放課後体育館校舎裏で待っています。」と実際に口でも本人に告白しようと思い書いた。こういう時、屋上などが雰囲気的にベターだったのだがうちの学校では使用禁止になっている。最近はきっとどこもそうだろう、
そして指定の日の放課後、現在に至る———、
指定時間ぴったりに来たのは須本白奈さん本人ではなく、まるで想像していなかった人物、同じクラスメイトの不知火燈叶だ。どうやら急いで来たのか息を切らしやや汗ばんでいるようだった。
お呼びでない不知火に自分がここにいる理由を聞かれたくなかった為、俺は腕時計を見たりと全力で話しかけるなオーラを放ちながら他の人を待っている素振りをする。それにしてもこの場に不知火がいることに驚きが隠せない。
いったい何用だろうか…
「・・・」
とても気まずい、
ここで余談になるが不知火燈叶という人間をざっくり説明するなら、「金髪」「不登校」「ギャル」の三拍子そろった問題児、生徒や先生ですら恐れるほどで悪い噂も多く、学校内で知らない人はいないいわゆる不良と呼ばれる俺の大っ嫌いなタイプだ。
誰にでも優しく話しかける須本白奈さんに対して、誰にでも冷たくあしらう不知火燈叶といっても過言ではない真逆の人種。
そもそも不知火は当たり前のように今日も不登校だったはずだ、なぜこんなところにいる…。来たとしても午後、それに放課後学校内に残るだなんてことは決してありえないはず。
絡まれたくないナンバーワンクラスメイトが近くにいるドキドキと須本白奈さんを待つ二重のドキドキでぶっ倒れそうだちくしょう。
わざわざひと気のない体育館校舎裏を選んだというのに、もしここに須本白奈さんが来てもこれじゃあ告白できないじゃないか。
はやくどっか行ってくれよ不良女―。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます