第11話 レディーなキッズの引率

いいんちょをリーダーにする事を蓮に話したが「そうか」で終わりだった。先に動きを読まれてたのかもしれん。


これからの事を相談しようと提案したが、その前に各自でレベルアップを目指す事になった。狸ダンジョンなら危険は無いと判断し、スキルを手に入れてから方針を決めてもいいだろうとの事だ。

いいね、こうやって方針を決めてくれたら俺は何の不安もなくダンジョンに通える。スキルを手に入れて、それが使えない物であっても今後の方針を考えてくれるだろう。


俺は学校でせっせと睡眠時間を稼ぎ、放課後は狸ダンジョンへと通った。

いいんちょも誘ったんだけど断られてしまった。蓮と行くのかな?なんとなく聞きにくかったのでスルーしてしまったぜ。蓮のほうがペースが早いからな、イチャイチャしている間に抜かせてもらうぜ。


そんなこんなで土曜日の朝、残り500~700匹くらいでレベルアップする筈なので今日は一日費やす予定だ。


「兄、最近深夜までダンジョンばかりだけどちゃんと寝ているのか?」

「咲耶、大丈夫だぞ。俺は硬い机でもぐっすり眠れるのだ」

ジト目で呆れた顔をされる。ふふっ、馬鹿め。その顔は可愛いだけなのだ。

「そんなに楽しいのか?」

「楽しいっていうか、もうちょっとでレベルアップ出来るっていう当面の目標も見えてるし、金も稼げるからな。やり甲斐がある」

「ふむ」

咲耶は少し考えた後、顔を上げていった。

「兄よ、私もつれていけ」


という事で朝から妹連れでダンジョン前に来てしまった。

止めようとはしたんだよ?でも危ないって言えば危ないことしてるのか?と詰められるし。まだ早いって言っても兄も中学生だろって言い返されて敗北した。口で勝てる要素無いんだよなぁ。

まぁ俺自身が危なくないと判断して夜にソロで回ってるし、楽しんでるし稼いでるんだから説得力がない。その上にかあさんも援護射撃をしてきて押し切られた。

かあさんは何故かダンジョン通いに積極的なんだよな、本人も行きたがってたからかな?


「レッグガードだけ買っていくぞ、攻撃されるのは大体脚だし蹴り飛ばす時にも便利なんだ。」

「分かった、お小遣いは持ってきた」

スカートは論外なのでズボンを履かせたが、ツイル生地?なんかよく分からん。女の子の履物なんて知らんよ。学校のジャージでも履いてくると思ったらなんかオシャレなズボンを履いて来た。そんなの履いてるの見たことありませんよ。

「ズボンじゃないパンツだ」

「女の子がパンツでうろつくんじゃありません」

知ってるか?ズボンをパンツと呼ぶ国は英語圏でも少ないんだぞ。


レッグガードを装備して、ごちゃごちゃと人の多い休日ダンジョンに入ろうとしたらやたら目立つ大きな女子を見つけた。

「あれ、おーい!お前も来てたのか」

「あ、!社くん!おはよー、社くんもがんばってるんだね!」

大きな声で名前を呼ぶんじゃありませんよ。

「兄よ」

横腹をつんつんされる、咲耶は俺に対しては口も態度も悪いが外面はいいのだ。

「あぁ。山宮、こいつは妹の咲耶だ。咲耶、彼女は同じクラスで友達の山宮」

「はじめまして、社咲耶と申します。兄がいつもお世話になっております」

「あ、は、はい!山宮琴音です!こちらこそお兄さんにお世話になってます!」

挨拶の後にペコリとお辞儀をする咲耶に対して慌てて返す山宮。咲耶はそういうのどこで覚えてくるの?女子だけそういう授業あるの?


「山宮、今日は1人で来たのか?良かったら一緒に行くか?」

「あー…うん。今日は友だちと来てるからだいじょうぶだよ。妹さんとがんばってね」

「そっか、わかった。あぁそうそう、そこらで売ってるレッグガード買うと捗るぞ。これがあれば蹴りの威力が上がるし、ついでにズボンも守れるから買っておいて損は無い」


「へぇ!」と感心する山宮と別れ、手続きを済ませてダンジョンに侵入する。

今日は妹連れになったが、本番は夜だ。それまでに100匹いけるかな?




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