モバイルサイキック

@alterego0781

第1話 つかの間の平和

ある夏の日だった。

学園がたくさんある都市ではなく、学園自体が一つの都市となっている北都都市学園に在籍して1年が経つ。クラスメイトの数割と仲良くなり、彼女も出来て、学園生活も上手くいっていた。俺ははいつも通り起き、いつも通り通学路についていた。「おはよう、時雨くん」彼女である有栖が話しかける。

「おはよ、有栖」自然な流れで挨拶を交わす。通学路で誰が見てるか分からない以上、気楽にいちゃつくことは出来ない。「そういえば時雨くんは昨日の課題終わった?」「あー、あの、何だっけ、えっと…」「シマエナガの観察結果だよ。ほら、何故か都市学園中飛び回ってるあの可愛い鳥」「あーそうだったそうだった!昨日徹夜してやった」そう言って課題のデータを有栖の個人リールに送る。リールはこの都市学園で普及してるSNSで、まあ簡単に言えばLI◯Eだ。「うん、まぁこの文面なら、また先生に通信制限かけられずに済むと思うよ。というか、徹夜するくらいなら早めにまとめればいいのに…」「そうは言ってもな、会長に雑用を山のようにさせられて時間ゴリゴリ消えるんだよ!」「黒金先輩、またやったの?時雨くんも何でボイコットしないのかな?」「ボイコットなんてしたらあの人絶対不祥事捏造して追い出そうとするだろ!この1週間で何人学園から追い出されたか覚えてるか?5人だよ!5人もいなくなったんだぞ!?」「前は月に1人いなくなるかじゃなかったっけ?黒金先輩って、前にもまして非道になってるよね…」「しかも俺に押し付ける雑用も捏造の証拠隠滅!なんであんなやつ生徒会長にしたんだよ…」「あはは…って、もう学校着いたよ!」「まじかよ!通学路こんな短かったか?」そうして俺達は教室に向かう。それが悲劇の始まりと知らずに…

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