GHOST

常盤海斗

第1話TUBASA

翼が合ったらって考えたことはあるかい?

翼ではなくても、空を飛べたらいいなと思うことはあると思うんだ。でも、実際に空を飛ぶことができたり翼が手に入ることなんてありえない。

このつまらなく妄想で欲を持たすだけの世界では必要なものだと思う。

翼なんて要らない人もいる?でも考えてみてほしいんだ。

翼があったら空を飛ぶことができるだろう?なら移動が楽になるのが一つの利点。

他にはシンプルな気持ちのよさもあると思う。

僕は思う。空を自由自在に飛び回れたらどれだけ気持ちがいいだろうか。いろいろなことを考えてみる、今はこんなちっぽけなことしかできない、そんな悲しいことを考えながら小説を書いてサイトに投稿している。

人気もなく、一定数応援コメントを残してくれるわけでもなく、一話書いたらまた別の小説を書くとんでもない浮気者小説家。

でも思うんだ、考え付いたうちに書かないと次の日には忘れていたり、メモを取っていたとしても気が変わって新しい話を書きたくなっているかもしれない。そう、俺は決断力がない、一つの物語を自分の脳みそと手を使って主人公を終わりまで導いてあげる、そんな簡単なことができない。

はぁ、こんな暗いことを考えていては翼が手に入ることができたとしても運が逃げて行ってしまう。

運をためるために勉強を頑張りボランティアのごみ拾い活動に参加している。

でも運なんてたまっても翼が手に入る可能性なんて九分九厘内ない。

「悲しくなってきた。もう嫌になってきた」

僕は友達が少ない。逃げ道がないんだ。陽キャにはつらくなった時に友達に魑魅魍魎のあらゆる罵詈雑言やストレスを吐き出せる。

そんなことが話せる友達はその罵詈雑言に付き合ってくれる。そんな友人を見つけたいもんだ。

見えないのこの僕が、この声が届いてる?(星街すいせい様「GHOST」より一部)

この歌詞、染みるなぁ、完璧に同じことを考えている気がするな。

TUBASA、つばさ、翼、うん、欲しい。

サンタさんに頼んだらくれるかな?いや、ありえないだろう、サンタさんは神ではない、子供の夢をかなえてくれる運命の運び屋だ。

そもそも翼ってどうやってたたむの?てか、翼をたたむ感覚が知りたいな、気になることが多すぎて夜も眠れない。

僕は決していじめられているとか嫌われているわけではない、そう信じ込んでいる。

実際問題、話しかけられることがないから当然暴言なんて吐かれない。行事の手伝いなどに暇だから参加している際は、どちらかというと「ありがとう」をよく聞く

てかそれ以外聞かない。だって話しかけられないから。

「人士リセットボタン」あぁ、この曲の題名のような道具が実際にないものか。

やばい、願望が多すぎて何もかも考えがまとまらない。しかも夢を見れない。せめて夢でもいいから空を飛ぶ夢を見せてくれ。

「そぉらぁを自由に、とぉびたいなぁ」

そんなふらふらした声と足取りで僕は自分の住んでいる十階建てのマンションの屋上に向かって階段を登りだす。

「僕は、ここで終了です、もし、神がこの声を聴いているのなら、僕に翼をつけて一つの尊い(笑)命を救ってください。」「まぁ、こんな生きる生ごみなんてどうでもいいですね。はは、、、、、さようなら」

ゆっくりと外に向かって歩いていく。やりたいことをやっておけばよかったかな?まぁ、特にないけど。

あ、いまならこの心情を小説に書き下ろせるかも。そんな気分。空飛びたい。

翼をください。神様、死にたくありません。でも死にたいです。こんな気持ち初めてです。よくわかりません。なんなんですか?。教えてください。

あはは、僕のちっぽけな声なんて届きませんよね。

そして落ちた。僕は重力に従って頭から真っ逆さまに落ちていく。このままなら絶対に一撃で死ねる。

僕が小さいころにバカみたいな考えを書いたら以外に人気だった作品の名前だな

「紐なしバンジーは人類の革命だ。」

そんな言葉が遺言でいいのか?そんなことを考えながら涙とともに口からこぼれた「翼をください」

視界が黒くなった。何も感じない、痛くもない、感覚がない、方向感覚がないから宇宙船の無重力空間にいるみたいです。

まぁ、宇宙船乗ったことないんだけど。

「翼が欲しい」

そんな言葉を発するとともに視界が開ける。感覚が戻る。方向感覚が以前の2倍ほどよく感じた。

あれ?死ぬの失敗した?痛すぎておかしくなった?なぜだろう、雲が下になっているような夜空が見える。

雲の上を飛んでるみたい、だんだん意識が回復してきて風を感じることができ始めてきた。

僕は翼が欲しいと考えていた。その願いが実現した。だって、背中に違和感がある。

僕は今、空を飛んでいる。見えないから確かではないが、腕がもう二本追加されて撫でられているようなむず痒い感覚が走る。

そして僕は飛び続けた。遥か彼方まで飛び続けた。その体力尽きるまで。

僕は疲れてきた体を休めるために高度を下げ始めた。ざっと二時間ほどだろうか、自殺するために家を出た時間が四時半ほどだろうか、何にも注目されないはずなのに小説を書くというバカみたいなことをしているせいで時間が過ぎてしまった。

それを目印にすると時間は六時ほどというのがわかる。蒸し暑い夏だから日が昇り始めるのが早い。朝の気温は何とも言えない暑さがある。

で、僕は驚愕してバランスを崩してしまった。ここは日本ではない。海外とは思えないまがまがしい光景が広まっている。

これは、、溶岩?マグマと呼ばれるものか、なんだここ、山の頂上にでもついたか?でもそれにしては平らだし地面がすぐそばにある。

と、そんなことを考えていると突然とてつもないスピードで突っ込んでくる黒くて細長い物体が目に入り込んだ。

あたったらまずい気がするが、少し興味もある。

その直後、後頭部に大きな衝撃が走り、一時的な脳震盪を起こした

目が覚めると、なんかデジャブ感がある病室が見えた。

まるで、小学校の頃に川崎病にかかって入院してる頃のような。

「貴様は何者だ!!空を飛んでいたな!!人間ではないな!!!何者だ!」

いやいや、いきなり質問攻めされると答える間がないですやん。答えるほうが難しいくらいだ。

「僕は、、、」

目の前にかかっているうっとうしい前髪をどかして顔を露わにした」

「まさか、、、あなた様は、、、、、、!!??」

突然研究員と思われる白衣を着ている一人の男性が声を上げた。

「ただの死んだと思ったら翼が生えていた。人間。」

研究員たちが冷や汗を滝のように流し出した。

「名前は「大空彼方」中学生です」

いきなり研究員が驚くほど速い速度で土下座をした。

「ご、、、ご無事でございましたか、、彼方様、、、、」

は?

声に出ない声が頭の中を駆け巡った。

パッと弾けた感情に、言い訳を並べて過ごした。

葛藤の知らない、街明かり。僕だけだって、噓をついた。

信じたくもない人生論で、踊っている。示すために連ね続けた。言葉。


「あなた様はやはりご無事だと思いました。。!!!!」


見えないの僕が?僕の、この声が聞こえてる・

シルエットすらも、透明できっと、不格好だけれど。でも、

せめて声を枯らそう、必死に縋ってもずっと、証明を


ねぇ、僕、ゴーストみたいだ。


僕は結局何者なのかって?生きるゴーストさ。

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GHOST 常盤海斗 @tokiwa7799yanwenri

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