ひまわりーゴッホ

マイペース七瀬

第1話

 イラストレーターのタケルは、殆ど、稼ぎのない状態で、いつも両親から、生活費を援助してもらっていた。

 そして、いつもタケルが、描くイラストは、いわゆる、アイドルのイラストが、多くて、それも、「出るところが出る」イラストばかりを描いていた。

 2024年8月。

 夏の暑い日差しだった。

 セミが、ミンミン鳴いている。

 今年の暑さも異常になっている。

 いつも、タケルは、イラストを描く仕事以外に、両親が、農業をしている。

 そして、よく、ビニールハウスへ行っては、トマトを育てている。

 タケルは、もう、40代になっているが、高齢の70代の両親と一緒に、トマトを育て、また、メロンも育てている。

 タケルは、もう、絵を描く才能がないと思っている。

 だが、と思った。

 ある時、タケルは、父親からこう言われた。

「お前さ」

「何?」

「イラストを描く仕事をしても良いよ」

「そう?」

「そして、この農業の仕事も手伝いながら」

「うん」

「だけどさ、父さんからも頼みがあるんだ」

「何?」

 少し、期待をして言った。

「お前さ、もう、40代になっているのだから、そんな若い女の子のイラストばかり描かないで、こんな絵に興味を持てないか?」

 と言って、父親は、『コッホ画集』を渡した。

「お前さ、たまには、こんなコッホとか興味を持てないかね?」

「え」

「そしたらさ、そんなどこかのアイドルの女の子とか、指原莉乃とか山本彩みたいな女の子よりも、本物の彼女が来て楽しいぞ」

 と言った。

 父親は、タケルが、農業の仕事をしながら、イラストを描く仕事をしても良いと言った。

 ただ、一方で、アイドルのイラストではなく、ゴッホのひまわりのような絵を描けないかと提案をした。

 タケルは、そこで、畑から、少し行ったところへ行って、ひまわりが植えているのに、気がつき、そこで、父親に許可をもらって、ひまわりの絵を描いてみた。何枚か描いていた。

 すると、ある日、トマトジュースの工場の社員さんが、来ていた。

「どうも、角川トマトジュースです」

 と言った。

「あれ、お父さん、あれは、息子さん?」

「ええ、いつも、ひまわりのイラストを描いていて、下手なんですけど」

 と30代の女性社員は、言った。

「どうも、こんにちは、角川トマトジュースの宮内ですけど…」

 と言った。

 角川トマトジュースの社員、アカネは、そのまま、タケルの絵を描く光景を見て

「キレイ」

 と言った。

 ひまわりと、その周りに犬を散歩させて、そして、鳥が飛んでいる光景を絵にしていた。

 タケルのイラストは、ゴッホほど上手くはないが、アカネの心を掴んだようだった。

 それから、暫くして、アカネが、タケルの実家の営業担当になって、それからしばらくして付き合ったそうな。アカネは、指原莉乃と顔立ちが似ていたらしい。

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ひまわりーゴッホ マイペース七瀬 @simichi0505

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