『かさ🌂あげくん』

『かさ🌂あげくん』

　『これは、落語の一種で、フィクションです。』　

　　『人類病院の玄関前』

おとしよりの女性

　『やー、こらしょ。うにゃー、こらしょ。はあ………』

かさ🌂あげくん(チカ・ラー・モーチ星人)

　『おまたせしました。さあ、もちあげましょう。』

お年寄り

　『ありがとさん。いやあ。なんで、こんなに、かさが重いのかな。』

かさ🌂あげくん

　『なんでもかんでも、地球を占領した、我々、チカ・ラー・モーチ星人に合わせてるからでしょう。すべて、チカ・ラー・モーチの基準になっています。地球人基準は、特注になるため、高額で、一般人は買えませんからね。しかし、売れないと、もうからないし、地球人の職人はいなくなったし、仕方がないらしいすよ。』

お年寄り

　『まあ、まあ、いつから、そうなりましたかなあ？』

かさ🌂あげくん

　『さて、もう、25年になります。』

お年寄り

　『ほう。そうかい。もちあげれば楽になるのにねー。』

かさ🌂あげくん

　『不思議ですよね。』

お年寄り

　『じゃ、またね。ありがとう。』

かさ🌂あげくん

　『はい。さようなら。気をつけて。……やれやれ、ちょっと、認知症かな。それにしても、チカ・ラー・モーチは、なんでも、まずは、手応えがないと、ダメなんだからなあ。しかし、もう、地球人は、この町の、1500人だけなんだけどなあ。もう少し、配慮してあげるべきだよな。』

　　病院の事務所

かさ🌂あげくん

　『ねえ、事務総長、毎日、かさ上げばかりしてると、むなしくなります。ぼくは、雨の日は、人類の傘あげばかりしてますよ。なにか、適正な方策を考えてあげるべきです。あと、残り1500人なんだから。しかも、年寄りばかりね。傘くらい、ぼくらで、地球人仕様を作りましょうよ。ぼくは、すっかり、かさ🌂あげくんという名前になってますし。』

事務総長

　『そらあ、おらも、そうしたいだんべなあ。しかし、あの人類管理官が、あたま固いしなあ。』

かさ🌂あげくん

　『はあ。事務総長、このさい、やりたくないけど、うらかさを、作りましょうよ。経費はぼくが、なんとか作りますから。』

事務総長

　『おらは、しらないぞ。ど、なっても。』

かさ🌂あげくん

　『ありがとうございます。』

　かさ🌂あげくんは、見よう見まねで、地球人用のかさを100本作ったのである。

　しかし、これは、内部密告により、明らかとなり、かさ🌂あげくんは、チカ・ラー・モーチ北町奉行所にひったてられた。

　　　　　　👩‍⚖️👨‍⚖️

北町奉行　オー・オカ・アーエ・チゼン

　『おもてをあげよ。そなた、かさ🌂あげくんだな。本名、ヤク・タータズ』

かさ🌂あげくん

　『はい。』

奉行

　『仕事はなにか？』

かさ🌂あげくん(ヤク・タータズ)

　『北町人類病院の事務員です。』

奉行

　『訴えによれば、そのほう、自らの給与を削りて、人類用の、傘をつくりしこと、相違ないか？』

かさ🌂あげくん

　『相違は、ありませんが、あと1500人しかいない、人類の福祉のためです。地球人類は、いまだ、不当に差別されています。』

人類管理官

　『お奉行。人類のためなど、もってのほか。そもそも、戦に負けたくせに、生かしてやっているうえに、医療まで提供しているのですぞ。なぜ、傘まで、与える必要があるのですか。言語道断。人類管理法に反することは明白なり。この、ぼろ傘の山をみりゃ、わかるはずです。こやつは、処刑すべし。傘は、即刻、廃棄です。そのように、正式に、訴えます。』

奉行

　『なるほど。』

奉行補佐

　『え、お奉行。約束の、証人が来ております。』

奉行

　『よろしい。呼びたまえ。』

　廷吏、お年寄りの女性を、おしらすに、連れて入る。

廷吏

　『そこに、すわりませ〰️〰️』

お年寄り

　『そりゃ、むりれす。も、すわれないよ。』

廷吏

　『なにを言うか、人類の分際で。』

管理官

　『きみ、そんなの、転がしときたまえ。』

奉行

　『まてまて、きみ、椅子をもってまいれ。』

管理官

　『なにを、ばかなことを。なぜ、地球人をかばう。お奉行、行きすぎですぞ。』

奉行

　『このひとは、証人である。罪人ではない。被告人がこのように、ひき据えられているのに、転がすわけにはゆきますまい。はやく、椅子をもて。』

廷吏

　『はっ。』

管理官

　『ちぇっ。くそ奉行め。』

奉行

　『なにか、おっしゃいましたかな。』

管理官

　『いえ。なにも。ちょっと、せきを。ごほ、ごほ。ちぇっ。』

奉行

　『おー。お大事になさりませ。実は、まだ、内密ながら、この近くで、チカ・ラー・モーチ・コロナが出ておりましてな。なかなか、予後が良くないような。ああ、人類には害はないぞ。』

管理官

　『げっ？』

奉行

　『さて。ご老人。このものを、知っていますかな？』

お年寄り

　『そりゃもう。いつも、病院で、雨の日には、傘をあげてくれますよ。あれは、もう、重たくて重たくて。持ち上がると、軽くなるけど。』

奉行

　『かさを、あげる？』

お年寄り

　『お奉行さんは、しりませんか？　かさの重さを？』

管理官

　『ふん。地球人にだけ、重く感じるだけだ。計ってみるが良い。』

奉行

　『おー。さすが、良いお考えですな。では、さっそく。傘を持て。』

奉行補佐

　『はっ。これに。』

　補佐、さっそく、普通の、つまり、チカ・ラー・モチ星人が使う傘を差し出す。

奉行

　『まあ、とくに、重くは、ないがな。』

管理官

　『計ってみろよ。』

奉行補佐

　『はっ。これに、秤がございます。』

奉行

　『おー。用意が良いな。』

補佐

　『もちろん。え、500チカラー・モチ・グラムですな。』

管理官

　『ほら、軽いでしょう。』

奉行

　『ふむ。あー、もうひとつ、やってみよう。別のを持て。』

奉行補佐

　『はっ。これに、ございます。』

奉行

　『おー。またまた、用意がよういのう。はははははは。』

管理官

　『や、それは？』

奉行

　『やってみよ。』

奉行補佐

　『こ、これは、15キロ人類グラムで、ありますな。持ち上がると、１キログラムになります。これは、チカ・ラー・モチの法則ですな』

奉行

　『それは、ああ、つまり、地球人には、軽いか？』

奉行補佐

　『いやあ。さて？　あまり、軽くはないでしょうなあ。』

管理官

　『それは、人類の秤だろ？　無意味だ。』

奉行

　『そうですかな？　あなたは、人類の管理をしているはず。人類の体力を良く知っていますな？』

管理官

　『そりゃ、まあ。』

奉行

　『たしかに、チカ・ラー・モチには、楊枝を持つようなもの。しかし、あなた、持てますかな？　さあ、あの人に、渡しなさい。』

奉行補佐

　『はい。では、………ああ、ご老人、持ちなさい。』

お年寄り

　『はやあー。いりあ〰️〰️。こりは、病院の傘です。やっこり。ややややあ〰️〰️。なかなか、上がりませぬ。』

奉行

　『いやいや、無理はなさらぬように。管理官。あなたの事務所の資料では、病院の傘は、550グラムとありますな。あなたは、チカ・ラー・モチ星人用の秤を用いて、あなたの管轄内の人類に、無理を強いていましたな。数値の偽造をしていたわけですな。』

管理官

　『なにを、証拠に。』

奉行

　『証拠は、ここにありますぞ。資料も押さえました。秤もね。事務員も白状しとります。』

管理官

　『人類管理なのですぞ。よろしい。総督に訴えるからなあ。』

奉行

　『どうぞ。では、通称、かさ🌂あげくん。あなたは、無罪。ああ、おくさま、たいへんに御苦労様です。ご協力感謝いたします。新総統は、地球人類の保護を進めると、約束しています。本星の新政権も同意いたしました。そもそも、侵略は間違いだった、とも。また、かつて宇宙に出た人類の巨大移住船が、帰ってくることになりましたぞ。一億人乗っていると。』

お年寄り

　『おお。ありがとう。』

かさ🌂あげくん

　『おくさま？』

奉行

　『このかたは、隠されていましたが、地球人類の会長さまですよ。』

お年寄り

　『いいや、ただの年寄りに違いありません。みな、それだけなのです。結局のところはね。』

　　　　閉廷後

ダーク・スーツ・チカ・ラー・モチ・メン現れる。

　『お奉行、多少、今後、静かにしていたまえ。』

奉行

　『ほう、あなたは？』

ダーク・スーツ………

　『それは、いまは、よいことです。秘密情報をあげよう。本星は、かさあげ星人に攻撃されている。たぶん、敗北する。地球人類は、性格的に太刀打ちできるかもしれない。地球人類を兵士としたいのだ。ぜひ、協力願いたい。』

奉行

　『やだね。おらは、かさあげはしないんだ。』

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