馬鹿な俺と優等生なあいつ

あおとしろ。

第1話 久々の約束

俺の名前は柊あお。高校生で成績ダントツビリ。俺には幼馴染がいて、同じ学校の優等生。そいつは今日も俺の家に向かっている。


ピンポーン

朝の7時30分という決まった時間にインターフォンがなる。本当は学校の準備も全て終わらせて玄関を開くのだが、俺はあいにくまだベットの中だ。それに、今日の授業の準備もまだだし、それ以前に今日の授業がなんなのかも知らない。

ピンポーン

また鳴った。まあこれもお決まりだ。俺だけじゃなくドアの向こうのあいつにとってもお決まりだろうな。重い足を床につけ、ようやく歩き出す。あいつが待ってる玄関につき、扉を開く。


「あ、今日もまたすごい寝癖だね。おはよう」ニコッ

「んー・・・。今準備する。家入って待ってろ」

「はいはい。今日もお邪魔するね」


こいつが噂の俺の幼馴染の霞賀しろ。毎朝俺を起こしにきて、準備を手伝ってくれる過保護なやつだ。パンを焼いて朝食を作り、ドライヤーをもち俺の寝癖を治す。なんでこんな優等生が俺みたいな不良にここまですんのかわからないが、俺はこの生活を気に入っている。


「僕のことじっと見てるけど、何か変かな?」

「な、何もねーよ。ほら、準備終わったからはよ行くぞ」

「あ、ちょっと待ってよ!」


学校は歩いて15分ぐらいかかる。その間、俺らはいつも横に並んでたわいもない会話をする。


「そういえばさ、今朝あおのパジャマ裏表逆だったよ」

「はー!?今じゃなくて家で言えよ!!」

「言ったよぉ?でも全然聞いてなかったから後で言おうって思って」

「あーもう。なんか恥かいた」

「そう?僕は可愛いと思ってけどなぁ」

「恥ずかしいこと言うなっ!」

「ごめんごめん。あ、そうだ。来週からテスト期間だし勉強会しない?どうせ授業まともに受けてないでしょ?」

「あー知りたくなかったわ。てか、俺でもちゃんと授業は受けてるわ!」

「受けてるって言っても、寝てるでしょう?」

「うるせー!!てか、勉強会って・・・。俺勉強しても頭入んねーし、やるだけ無駄だぞ?」

「そんなの知ってるよ、何年一緒にいると思ってるの?でも、しないよりは少しでもやってみようよ!それに、久々にあおと2人になれるしね」

「お前よくそんな恥ずかしいこと堂々と言えるな・・・。」

「あおにだけだよ。じゃあ今日の放課後から何日か泊まりでやらない?勉強会にお泊まり会!それはそうと、どっちの家でしようか?」

「別にどっちでもかまわねぇよ。」

「それじゃあ、あおの家がいいな!朝以外であおの家行くの久々だし」

「確かに最近お前遊び来ねぇよな」

「委員会とかで忙しくて、帰りも遅いんだよ」

「そりゃ、大変だな」


勉強会の約束をしたところで、学校に着いた。上履きに履き替え教室に向かう。階段を上がったところで、村田先生に声をかけられた。


「霞賀くん!委員会のことで話があるんだ。ちょっといいかな?」

「はい、大丈夫です。」

「朝から悪いね、ちょっと急用でね」

「しろ、荷物教室持って行ってやるからよこせ」

「え、いいの?助かるよ、ありがとう」ニコッ


カバンを受け取り教室へ向かう。やっぱり優等生だな。こいつのカバンは俺の何倍もの重さがあった。教室に入り荷物を置く。あいつが帰ってきたのはHRが終わった後だった。


「ちょっとの割には遅かったな」

「僕もびっくりだよ。朝からこんなに疲れるなんて思わなかった」

「委員会てのは分かってっけど、あんま無理すんなよ」

「え!あおが心配してくれるなんて僕は幸せ者だなぁ」

「大袈裟すぎだろ、無理したら体調崩すぞ・・・」

「はっはは。それもそうだね!勉強会にお泊まり会だし、楽しみだね?あお」

「う、うるせぇ」

「やっぱり、あおは可愛いね」

「うるせぇー!!」


今日はやけに時間の経過が遅い。とは言っても俺は睡眠学習だけどな。

ようやく下校時間になり、帰る準備を済ませる。


「あおー!準備終わった?」

「あぁ。」

「それじゃあ帰ろ!あ、そうだ。帰りに何か買って行こうよ!」

「そうだな。俺ポテチがいい」

「ポテチ好きだね。コンソメ味でしょう?それからいちごミルクだっけ?」

「知ってんなら聞くな。お前は抹茶オレだろ?」

「え!?覚えててくれたの!?嬉しすぎるよ」

「知りたくなくても、あんなに飲んでたら覚えるわ」

「確かにそうだね。じゃあ早く買い出し行ってあおの家向かおう?いくら早帰りでも時間なくなっちゃうよ」

「どうせ泊まんだから時間あんだろ」

「はっはは。それもそうだね!」


近くのコンビニで買い出しを済ませ、俺の家に向かう。


「泊まるなら着替えとか持ってこいよ?」

「あ、忘れてた。言ってくれてありがとう。」

「普通忘れっか?」

「楽しみすぎてね、つい。じゃあ僕準備してくるから、あおは勉強会の準備して待ってて!」

「ああ」


ものすごいスピードで去ってったあいつを見て、ガキかと思った。泊まりなのは久々だし俺も楽しみにはしてっけど、勉強会は楽しくなくね?そんなことを考えながら家の鍵を開け、テーブルに買ったものを置く。


(勉強会の準備っつーけど、何すんだ?)


俺はとりあえず筆箱を準備して、あいつがくるのを待った。

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馬鹿な俺と優等生なあいつ あおとしろ。 @aotoshiro

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