探偵の暇つぶし 2 6500mのリバティ

@derara12124

プロローグ  b


 

 まず、鈍い音がした、その後に、高い声がした。



 

「大丈夫?!」

 

 

 白い服を着た女の人がそう言った。

 地面についた手で、重い体を起こす。


 

「どこも打ってない?あっ、あーあざが出来るわね、これ。どうしましょう。一度、病室まで行きましょうか。あとで湿布を持って来るから、一緒に病室まで行きましょうね」

 


 そんなことを言われて、訳のわからないままに腕を引かれる。

 ジンジンと痛む膝が足を動かすたびに痛かったけど、何も言えない俺はとにかく必死について行くしかなくて、幸いにも、その人の言う”病室”にはすぐについた。

 二つあるうちの白いベットに座らされて。

 パタパタと白い服を着た女の人は部屋から出ていった。

 病室は白くて、開いた窓から吹く涼しい風が白いカーテンを揺らしていた。

 痛みを和らげるのにこの場所はちょうどいいような気がする。

 ジンジンとした痛みは、柔らかい白い布団に座っていると馴染むような感覚がする。

 それでも痛いものは痛くて、なんだか悲しい気持ちになってくる。


 

「おかえり」



 また別の声がして、俺は前を向いた。

 もう一つのベットには、1人の子供が座っていた。

 入って来る時には気づかなかったけど、静かにそこに、ずっといたみたいだ。

 黒い服を着ている子供は、なんで今まで気づかなかったのか不思議なくらい、どこもかしこも白い世界の中で浮いている。

 彼は俺じゃなくて下を見ていた。

 パチン、と軽い音がする。


 

「君は目算が甘すぎるよ。短距離でも常に危険があると思って行動しないと」


 

 落ち着いた声を聞くと、彼は俺が抱える疑問に答えてくれるんじゃないか、と言う気持ちが急に湧いてきた。

 ずっと気になっていたけど、白い服の女の人には聞けなかった。

 なんだかずっと慌ただしくて、変なことを聞くと怒られそうな気がしたから聞けなかったこと。

 口を開くと掠れた音がした。

 また、初めて聞く声だった。


 

「…ここはどこ?」

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