全然モテない俺が、同じ部活の爆乳な後輩の肩を揉むことになった⁉

譲羽唯月

第1話 俺の部活の後輩がデカい

 残念な学校生活を過ごしている櫻井直央さくらい/すなおは部活に所属していた。

 放課後に本を整理したり、本を貸し出したりする図書部で活動しているのだ。

 がしかし、放課後は昼休みのように人が殆ど来ない。


 そういう理由もあり、基本的に放課後は本の整理や、新しい本を本棚に並べたりする作業の方が多かった。


 そんな作業を、もう一人の子と一緒に行う事になっていたのだ。


 その子というのが、ショートヘアスタイルをした後輩の一ノ瀬充希いちのせ/みつき

 彼女は直央よりも身長が低いのだが、おっぱいだけはデカい。

 横から見れば、その大きさを確認できるほどだ。

 小柄な体系だからこそ、その爆乳さが際立って見えていた。


 今、直央は彼女と同じ棚にいて、隣同士で作業している。


 横目で見ると、彼女が本を並べる度に、その豊満なおっぱいが揺れ動いていた。

 それだけでも興奮してくるというものだ。


 直央は彼女が、この図書部に所属してから基本一緒だった。

 それからというもの、直央は爆乳な彼女に対し、興味を抱いていたのである。


 その爆乳さが凄まじく、そのおっぱいに魅了され、充希に関心を抱き始めたほどだ。


 今まで生きてきて、これほどの爆乳をお目にかかれたことなど一度もない。

 むしろ、人生で一度も恋人すらも出来た試しのない直央からしたら刺激が強かったのだ。


 直央は昔から他人に対しては親切に接する事が多い。

 モテるために、色々な本を読んで試してみたのだが、なぜか不思議とモテることがなかったのである。


 やはり、自分はモテない世界に生まれてしまったのかもしれない。


 直央はため息をはく。


 日々、恋人ができないという事が悩みであり、今のところは爆乳をチラッと見ているだけでも、一応、心のオアシスにはなっていた。




「……ぱい」

「ん?」

「先輩?」

「え、あ、ああ、何?」

「私、上の方に手が届かないので、これを代わりにやってくれませんか?」


 充希から一冊の本を渡された。

 その本はジャンル的にも上の方に並べておく本だったのだ。


 直央は彼女から受け取った本の表紙を見ていた。

 恋愛の教科書という意味深なタイトル名の本だった。


 もしかして……いや、まさかな。


「わ、わかったよ。俺がやっておくから。他に俺に任せたい事はない?」

「……えっと」


 充希は視線を逸らしていた。


「何かあるの?」

「い、いいえ、なんでもないです。私、別のところに行くので、すいません」


 充希は消極的なのか、あまり本心で話してくれない。

 もしかしたら、距離を置かれているだけかもしれなかった。


 充希と仲良くなれればな……。

 色々なことが出来るんだけどな。


 そんな願望を抱きながらも、後輩から渡された本をつま先立ちで本棚の上の方に置くのだった。




 直央は全ての作業を終わらせると、それから図書室の貸出カウンターへと向かう。

 そこに戻ると爆乳な後輩が椅子に座っていた。


「先輩、さっきはありがとうございました」


 充希は頭を下げていた。


「別に気にしてないから、大丈夫だから、こういうの慣れてるし」


 直央は先輩らしく、余裕のある態度を見せていた。


「というか、もう作業は終わったんだよな。それに、さっきから本を借りに来る人もいないし」

「そうですよね」


 後輩は相槌を打っていた。


 図書室の窓から見える景色は薄暗くなっている。

 後十五分ほどで、図書室の活動時間が終わりになるのだ。


「少し早いけど、閉める?」

「そうですね、先輩がそう判断したのなら、私はそれでいいと思いますけど」

「うーん、じゃあ、今日は閉めるか」


 二人は廊下にあるロッカーから箒を持ってきて掃除を始めるのだった。




「……先輩?」

「ん? なに?」


 図書室長テーブルが置かれているところ周辺を箒で掃いていると、背後から話しかけられる。

 振り返ると、もじもじしている充希が佇んでいた。


「どうかしたか?」

「あの、先輩はこれから時間ってありますか?」

「時間は、あるけど」

「あのですね、先輩……今日、私と一緒に帰りませんか?」

「え、でも、家の方向が違う気がするけど」

「私が合わせます。遠まわしすればいいだけなので」

「でもな……」


 夜道を、女の子一人で歩かせるのもどうかと思う。


「まあ、分かった。でも、俺が君を家まで送り届けるよ。俺が遠回りすればいいだけだからさ」

「本当にいいんですか? では、一緒に帰宅できるってことですよね」


 充希は楽し気な笑顔を見せていた。


「そうだよ」

「ありがとうございます」


 後輩からなぜか感謝されてしまっていた。


 それから掃除を早めに終わらせ、二人は学校を後にする。

 二人が外を歩いている時には、もう周りが暗く、電灯が辺りを照らしているほどだ。


「すいません、一緒に帰ると提案して」


 学校近くの通学路。隣を一緒に歩いている彼女は直央に言う。


「別にいいんだけど。どうして、一緒に帰る事にしたんだ?」

「それは……」


 充希は躊躇った口調になりつつも、一度深呼吸をした後――


「私と付き合ってほしいんです」

「付き合う?」


 充希は目を見開いた。

 衝撃的な発言だったからだ。


「はい……で、でも、無理ならいいんですけど。先輩になら……いいと思って」


 後輩は声が小さくなっていた。


「だ、大丈夫だよ、付き合っても大丈夫だから」


 直央は彼女に心配をかけないように話す。

 これは人生の大きな転換期になると察したのである。


「でも、急に告白なんて珍しい気が。君みたいな子だったら、俺以外にもいると思うんだけど。それに休み時間だって、告白されていた気が」

「で、でも、先輩がいいんです」


 充希は直央の近くまでやってきて、どうしてもお願いしますと真剣な眼差しで言われていた。


「そ、そうなんだ」


 直央は首を傾げていた。


 これはまさかの、春が来た感じなのか?


 直央は疑問を抱きながらも、気分が紅潮してきていたのだ。


「私、先輩になら体を許せると思って」

「体を⁉」


 急展開過ぎるって。

 まさか、そういうお願いなのか?


「私、肩が凝りやすいんです。だから、肩を揉んでほしいと思って」

「え、ああ、そういう事か」


 後輩は爆乳であり、確かに、体に負担がかかりやすいと思う。


「何かあったんですか?」


 充希は天然なのか、わかっていないようだった。


「え、いや、なんでもないよ。気にしないで」


 直央はさっきまで考えていたことに羞恥心を感じ始めている。

 さすがに彼女との関係ではないと思い、さらに恥ずかしくなり、頬を紅潮させていた。


 でも、何はともあれ、爆乳な後輩と付き合える事には変わりがない。


 直央は喜んで、彼女の要望を受け入れる事にしたのである。


 これからの学校生活が楽しくなってきそうだと思う。


 二人は横に並び、暗くなった夜道を歩き続けるのだった。

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