「冷夜。」~10代から20代に書いた詩~
天川裕司
「冷夜。」~10代から20代に書いた詩~
「冷夜。」
神の名を呼んで、夜中、天井にひとつ手を伸ばしてみる。はっ、と目を見開いた私は、何かを恐れている。「小さい頃は、こんなことはなかったのに、…。」などと思いつつ、その理由が、長く生きた分、妙な期待心が膨らんで、“もしかしたら”という言葉と共に在った日頃の自分への呵責だった、と気付いてはいた。
「蜃気楼。」
個人の主張が、この世間で許されるのならば、私はなにをしようか。誰にでも真面目な顔の私である。ないものねだりの尽きない現実であり、そこでは途絶え切れない霧に巻かれ続ける。蜃気楼は荒れ狂い、人の心を惑わし続ける。俗に言う、“大切なもの”とは何か。幾度の過ちで、人は忘れ去ったのか。この蜃気楼の何処かに、置き忘れたような気もする、ないものねだりの煙に巻かれて一途の錯覚が生まれ始める。夜にみる夢。
「友輩。」
個室の中でのあいつの所作を、知らない。普段、気障りな程に、もの静か過ぎる奴なのに、個室の中では飛んではねて動いているのか。人の知らない個室(バショ)では、思ったことはすぐにでも、実現しようとする輩。…..日中、余り動き過ぎると、病気に伏せてしまうという気がしないでもない中、その末での病気ならいいものだ、と。ああ、先程から頭痛がする。
「性情多面。」
この頃、私が3人に増えたんだ。文学に生きたい、なんて思う自分と、まわりの誰にでも合わせようとする、女みたいな自分と、ただ格好つけて、不良ぶり、妙に臆病隠して無責任さを装おうとする自分。そしてそれらは共通して不安を持ってこさせ、私をイラ立たせる。
「転期。」
これから時代はかわる。どっちに転ぶかはもうわかってるがあまり考えないでおこう。考えてももう同じことだ。武術の訓練もせずに堂々と勉強の頭評価を競い合う大人と子どもがすべてを占める日本は最初から2番目くらいの沈没国だ。核実験を批判できるだけ批判すればあとは皆その核の炎で焼き殺される、持ってる愚人も一網打尽だ。それに平和ボケしたこの日本(くに)はなんだ。よく嫌にならないな、この流行の格好悪さに。サルみたいに高みにのぼってはセックス感を楽しんで、終わればテレビをつけ、今の流行を見直す。
今、し続けてるフランス・中国の核実験がその内それらを焼き払うだろうけど、その時がこの愚人達のはじめて気付く時だろうぜ。今のこの時代、日本は平和で何もすることが見つからず、快楽ばかりを見つけ、そしてその他の奴等は今まで過去にきり開いてきた、止まった生活のくり返しをあたかもはじめてするか、のように心から楽しんでいるんだ。
その中で私はやってられない、とてもはがゆくてムカついて、やるせない気持ちなんだ。何故、便利になればわかっていながら人は馬鹿になるんだろう、忍耐ない奴等ばかり出てきて、精神年齢のひくい奴等ばかりがこの表舞台を占めようとする。
もう本当に彼等は自分で何をしているのかわかってないのだろうか、不思議なものだ。もしや、と思うことばかりが起きてるんだから。だから私が持つ本来の価値感は誰もわからないんだ。それぞれ価値感は違う、というのもあるが、でも私の価値感は全然違うんだ。
それに満足感を覚えるほどに、その差は大きいんだ。だから私はもうこの世を本当の目では見ないことにした。本当の目(価値感)とは今こうしてこの白紙に書きつけてる時くらいだ。もうこの世の中で流行に生きてる奴等などとはそういうイミで話したくもない。ヤケにたかぶった奴等なんかに。私はそろそろ本気で孤独と立ち向かわなければならないようだ。
もうあまり時間はない。その内正しさへのタイムリミットは消える。その見えない時間がゴールする前までに、私は孤独をものにしなければいけない。すべては時の行く先にある。そしてそこに死なない限り、自分がいる。何のシンポジウムもない私とまわりとの間に孤独は生まれ、私を責める。さぁ私はこの転期をどう過ごすのだろうか。これから起こるでき事をできるだけ楽しんでみたい。
「冷夜。」~10代から20代に書いた詩~ 天川裕司 @tenkawayuji
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