第15話

俺は金曜日の夜に妹の晴経由で、毛羽毛現(玉藻ちゃん)に連絡を取り、土曜日の午前中に、図書館で待ち合わせをして勉強を教えることを約束した。


俺は向こうの家(妖怪屋敷)には行きたくはないし、俺の家で毛羽毛現とふたりきりになるのも嫌だ。


そんなこんなで、無難な図書館に決めた。図書館なら空調も快適だし、大声を出さなければ、話すのも問題ないし、参考資料も借りられるしな。


あとは、俺が鋼鉄の意志で、妖怪に怯えなければ良いだけだ。


これまでの毛羽毛現の様子だと、姉のぬっぺっぽうには勉強会のことは秘密にするだろうしな。


俺は、少し安心をして、明日の勉強会の準備をする。

妹の晴の話だと、毛羽毛現は妹よりは勉強ができると言って言っていたからな。


明日は、実力を見てから弱点を克服させて行こうかな。


〜〜〜〜〜


翌日、俺は勉強道具や参考書などを持って、図書館に向かう。


出掛けに妹の晴から、

「アニキ!何だ、その格好はほとんど部屋着と変わらないよ!」

「え〜。図書館で勉強するだけだからな。別に良いじゃん。」


それを聞いた母親と晴は少し怒りながら、2人で俺の手を引っ張り、部屋に連れ戻す。


「何言っているの!」

「そうだよ!アニキ!顔はどうにもならないけどね。服装はどうにかなるんだからな!」

「おい!さり気なくディスるな!」



俺は母親と妹に、俺の部屋にある服の中で、最もマシな服に変えさせられた。


「我が息子ながら、こんな貧弱な装備(服)しがないなんて!」


母親が、俺の手持ちの服の貧弱さに嘆き、母親が臨時で服代を渡してきて、


「これで、玉藻ちゃんに服でも、選んでもらいな!」


と言われてしまった。

それを聞いた妹が、素早く玉藻に連絡して、

「勉強会の後、一緒に服でも買って(デートして)きなよ。」


おい!何か裏の声が聞こえた気がするぞ!

などと言っている内に余裕を持って出発しようとしたのに、ギリギリの時間になってしまった!


「アニキ!待ち合わせに遅れたら減点されるから!グズグズせずに早く行きなよ!」

「ホント!男は先に行って「今、きたところだよ。」なんて言うのでちょうどいいのよ!」


何だ?えらく母親と妹が必死になっているな!?


まぁ、これから勉強を教える立場として、遅刻をするのはどうかと思うので、俺は心持ち急いで、図書館に向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る