第13話

香織と涼介は「夜の輝き」を発見し、その宝石を斉藤絵美に返却するために彼女の自宅へ向かう。門司港の古びた大邸宅に到着し、重い扉がゆっくりと開くと、中から疲れ切った顔の絵美が現れた。


「これが『夜の輝き』です。お返しします。」

香織が宝石を差し出す。


「本当にありがとう。」絵美が感激して宝石を受け取る。


---


「ところで、なぜ黒影がこの宝石を狙ったのか教えていただけますか?」

涼介が尋ねる。


絵美は神妙な顔で頷き、語り始めた。

「この宝石には古い伝説があるのです。『夜の輝き』は、古代の神殿から発掘されたもので、その力を得た者は世界を支配する力を持つと言われています。」


香織と涼介は驚いた表情を浮かべた。

「世界を支配する力…そんな伝説が?」


「ええ。父もその伝説に魅了され、宝石の研究を続けていました。しかし、その力を狙う闇の組織、つまり黒影が現れ、宝石を奪おうとしたのです。」

絵美が悲しそうに語る。


「その組織がどれだけ危険な存在か、今になって分かりました。」

涼介が絵美に同情の眼差しを向ける。


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調査を進めるうちに、香織と涼介は大量の古い書類や宝石の鑑定書が保管されている部屋にたどり着いた。


「これは…父が大切にしていたものです。彼は生前、宝石にまつわる伝説や秘密を研究していました。」

絵美が説明する。


涼介は一つの古い箱を見つけ、箱を開けると、中には宝石のカタログと一緒に、一通の手紙が入っていた。

「これを見てください。」

涼介が手紙を広げる。


手紙には、宝石に関する古い伝説と、その力を狙う闇の組織についての記述があった。香織と涼介は、この情報を基に新たな手がかりを掴む。


「どうやら、これはただの盗難事件ではないようね。もっと深い陰謀が絡んでいる。」

香織が決意を込めて言う。


「そうだな。この手紙に書かれている闇の組織を追う必要がある。」

涼介が頷く。


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夜が更け、香織と涼介は再びバイクにまたがり、門司港の街を駆け抜ける。


「次は何が待っているかしらね。」

香織が風に乗って言う。


「さあな。でも、どんな困難が来ても、俺たちは乗り越えられる。」

涼介が笑顔で答える。


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「古い伝説と現代の陰謀が交錯する物語は続く。『夜の輝き』を巡る冒険は終わったが、香織と涼介の新たな挑戦が待っている。夜の静けさの中で輝く満月が、彼らの未来を照らす。」


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【完結】港町事件簿 探偵事務所編 『消えた宝石』 湊 町(みなと まち) @minatomachi

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