【完結】港町事件簿 探偵事務所編 『消えた宝石』
湊 マチ
第1話
探偵事務所の外に出ると、夜空に浮かぶ満月が輝いている。香織と涼介はバイクにまたがり、門司港の街を駆け抜ける。
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バイクで向かった先は、門司港の古びた大邸宅。依頼人の家の前でバイクを停め、香織と涼介は玄関のベルを鳴らす。重い扉がゆっくりと開き、中から疲れ切った顔の女性が現れた。
「助けてください、私の宝石が消えたんです。」
女性が悲痛な声で訴える。
「お話を詳しく聞かせてください。」
香織が優しく促す。
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大邸宅の応接室で、香織と涼介は女性から話を聞く。
彼女の名前は**斉藤絵美(さいとう えみ)**。
彼女は斉藤隆の娘で、父親から譲り受けた貴重な宝石「夜の輝き」が忽然と姿を消したという。
「展示会の後、家に戻ってからすぐに気づいたんです。でも、誰がどうやって持ち出したのか、全く分からないんです。」絵美が震える声で話す。
「なるほど、状況は理解しました。犯人はこの邸宅内に潜んでいる可能性がありますね。」
涼介が鋭い目で周囲を見渡す。
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香織と涼介は、絵美の案内で邸宅内を調査し始める。広大な屋敷の中、さまざまな部屋を慎重にチェックしていく。
「この家、まるで迷路みたいね。」
香織が冗談交じりに言う。
「確かに。でも、ここに何か手がかりがあるはずだ。」涼介が真剣な表情で応じる。
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調査を進めるうちに、彼らは一つの部屋にたどり着く。その部屋には、大量の古い書類や宝石の鑑定書が保管されていた。
「これは…父が大切にしていたものです。彼は生前、宝石にまつわる伝説や秘密を研究していました。」絵美が説明する。
「ここに何か手がかりがあるかもしれないわね。」香織が書類を丁寧に調べ始める。
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その時、涼介が一つの古い箱を見つける。箱を開けると、中には宝石のカタログと一緒に、一通の手紙が入っていた。
「これを見てください。」涼介が手紙を広げる。
手紙には、宝石に関する古い伝説と、その力を狙う闇の組織についての記述があった。香織と涼介は、この情報を基に新たな手がかりを掴む。
「どうやら、これはただの盗難事件ではないようね。もっと深い陰謀が絡んでいる。」
香織が決意を込めて言う。
「そうだな。この手紙に書かれている闇の組織を追う必要がある。」涼介が頷く。
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夜が更け、香織と涼介は再びバイクにまたがり、門司港の街を駆け抜ける。彼らの決意は固く、新たな冒険が始まる。
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