「第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部」

鈴呂屋こやん

第1話 ログアウトここは地上や五月雨

ログアウトここは地上や五月雨

  天井をふと見れば蜘蛛の巣

ハーベストムーン差し込む旧家来て

  うざい話の夜は長過ぎ

やや寒い冗談に終わらない仕事

  休めば溜まるゴミと疲れと


水槽の鮪が眩しく見える時

  でもなるならば鮫もいいかな

転生の勇者見上げる冬の月

  栄光はただ一時のもの

ぼっち飯続く老後のいつまでと

  妻の写真はいつも笑って

NTRのヘキはなかなかやめられず

  いにしえならば惟光の君

京二条六条までの道長く

  ビール麦茶もまだまだの春

ラインして既読スルーの花の冷え

  卒業のあと人に会わない


山奥の秘境の滝を見に行くと

  そこらかしこでバスの混雑

聖地では異国の言葉飛び交って

  土葬できずに帰る亡骸

あの時の奇襲もすぐに押し出され

  ビルの谷風平和公園

凍りつく道に寝転び空見れば

  スターリンクの消えてゆく月

黄コスモス田舎の道に生い茂り

  露に錆びてく孫の三輪

今は亡き爺の面影旅に出て

  エルフは恋の儚さを知る


同族の森ごと消えた世の中に

  ただ寂しげな閉店の紙

コロナ下はテイクアウトの世話になり

  マスクワクチン恩忘れない

待たされた花も満開酌み交わし

  続かんことを令和この春

  


  

  

  

  




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