中学生探偵はじめました

@sura_desukedow

中学生探偵はじめました

その日は部活でいつもより帰るのが遅くなってしまった、まだ7時になってないとはいえ流石に暗い…こんな時間に帰ったらお父さんが心配するだろうと急いで家に帰ると、とある異変に気づいた。鍵が開いていたのだ。どうせかけ忘れたのだろうと思った、いや、信じたかったのかもしれない。用心深いお父さんが鍵をかけ忘れるだろうか…?

「ただいまー、お父さん鍵かけ忘れてるよー?」

廊下にある大きな靴の足跡、こんな時間なのについてない灯り、私の不安をどんどん膨らんでいった。電気をつけるとはっきりと足跡が見える、震えながらも足跡を追う。

「お父さん?ねぇ…?」

ブルブルと震えてる手で扉を開ける、そこはベランダにつながっている部屋だ。思いっきりドアを開けるとそこでは父が倒れていた。

「お父さん!!」

庭へのカーテンがゆらゆらと揺れている、私はすぐにお父さんのポケットから携帯を出して救急車に電話をする。お父さんを担いで頑張って外に出る。お父さんは軽くって、冷たかった。すぐに救急車が駆けつけて病院に運ばれる、お父さんはどうやら私が帰ってた時にはもう息を引き取っていたらしい。私は警察に足跡のことを言った、きっと他殺だと…

「残念ながら、そのような足跡はございませんでした。」

「えっ?そんな…」

「原因は喘息だと思われます、こちらは死体検案書です。他に…」

それからは何も話が入ってこなかった、ただ私は病院の暗い待合ホールで座っていた。お父さんは私の唯一の家族だったから…もう何も考えたくなくて、この場所から動きたくなくて、もうこのまま…

「ねぇ。君のお父さんのこととか足跡のこと、詳しく教えてくれない?」

顔を上げると私と同じくらいの背丈の男の子がいた、茶色いコートに小さなグラサンと灰色のマスク。それらによくにあった茶色い帽子をつけていた。よく顔が見えなくてこれはまるで…

「不審者…?」

「僕はね、探偵なんだ。君のお父さんについて教えてくれる?」

そう言って私に名刺を渡す、佐藤 輝というらしい。私は人に話す気になれなくてただ俯く。

「じゃあ僕の考えを言おう、君のお父さんは喘息持ちで、それで死んだと言われた。だが実際は殺人鬼が家に入ってきて毒などで殺す、すぐに君がきてしまったので庭に出て隠れる。そしたら君が救急車を呼んで、お父さんを外まで担いだ。あってる?救急車がさった後警察が来る前に足跡を消して証拠は君以外だ〜れもみてない。」

驚いた、確かにそうすれば見つからないかもしれない。

「今すぐ警察に…!」

すると男の子は顔を振る、なんで…?

「あいつらは証拠がなきゃ動かないよ、それよりも君のお父さんの携帯持ってる?」

私はお父さんの古いタイプの折りたたみ携帯をジャージから出す。

「パスワード入れて。」

言われるがままにパスワードを入れて渡す。

「君の父を殺した人は、多分僕が追ってる人なんだ。そいつはね、人を殺す前にターゲットの名前を携帯で送る。」

携帯をいじりながらいう彼をじっと見つめる。

「そしたら殺した時にどの電子機器を奪うかわかるでしょ?」

私に携帯のメッセージ画面を見せてきた。そこには田中 春希という父の名前が送られていた、お父さんはどなたですかと送ってる。

「…じゃあなんでこの携帯は」

「君が帰ってきて奪う暇がなかったんじゃない?」

あ…そっか。

「さて、君はどうしたい?」

「?」

「君はこの悲しみを乗り越えて頑張って人生を過ごすのか、今みたいにずぅっと絶望してるのか、僕みたいに…悲しみを復讐心に変えるのか…」

「…ます。」

「ん?」

私はバッと立ち上がり大きな声で言った。

「私も復讐する!」

「じゃあ一緒に始めようか…」

彼は被ってた帽子を私に被せる、下は綺麗な金髪だった。

「君も今日から探偵だ!」

私は大きな笑みを浮かべた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る