第9話 一次試験

「人数あんま変わってないね。」

「かなり落ちたってことだね、一昨日見た人たちもいないし…」

ロアの言葉を聞いてアロが急に黒髪ポニーテールの女の人と、黒髪ツインテールの女の子に指を指す。

「あの二人は一昨日にもいた気がする。」

「あ、本当だね。」

「そうなんだ…」

私は彼女たちのことを全く覚えていなかった。

「ルカは誰か覚えてるか?」

「いや、この中では誰も。そもそも誰も覚えてない気が…あ、すげぇ巨乳の赤髪お姉さんがいた。あの人受かったのかな?」

私は腰まであるストレートな赤髪に、スポーツキャップとウェストバッグを身につけてたお姉さんを思い浮かべる。すると急に後ろから私に向けて声がした。

「それは私のことかな?」

後ろを向くとあの人と全く同じ赤髪をしたお姉さんがやってきたのだが…

「どうだろう、」

赤髪をポニーテールにして黒色の戦隊服のような服に背中には大剣を刺していた。

「ルカ、多分この人だよ。」

「坊主、ルカって言うのか。いい名前だな!」

女なんだけど、やっぱ髪型のせいで男っぽいのかな?髪の毛洗いやすいから結構気に入ってたんだけど…やっぱ伸ばそう。

「私はローザだ、よろしくな。」

「よろしくお願いします、」

私は小さくお辞儀をする、面白いから男って思わせとこ。

「そろそろ試験開始だな、どんな試験になるんだろうな。誰も死なないことを願うが…」

え、何?この試験人が死ぬ可能性があるの??私はロアたちの方を見ると言いたいことが伝わったのか、深いため息と一緒に言われた。

「一昨日の試験で誓約書にもサインしただろう、」

「あれ誓約書だったんだ…」

一昨日のプリントを思い浮かべる上半分は個人情報、下半分はよくわからんが名前を書いたやつ。きっと下の部分は誓約書となっていたのだろう。

「あ、あ。皆さん予選突破おめでとうございます。」

キーンと言う耳に響く音と共に赤髪の眼鏡をかけたおじさんがマイクを使って喋り出す、おじさんて言うほど年取ってるようには見えないか。清潔感もあって身だしなみもしっかりしてる、30代とか?私が一人、おじさんの年齢を考えてるとどこかに向かうことになった。

「どこ向かってるの?」

「ん、試験会場。お前もちょっとは話を聞いたらどうだ。」

話が長すぎるせいだよ、もっと短ければちゃんと聞いてるもん…心の中で言い訳してる間に大きな門の前についた、中に入ると大きくて古い遺跡のような場所だった。

「ダンジョンか、」

ロアの方を向いて首を傾げるとローザさんが説明をしてくれる。

「いわゆる地下迷宮だな、洞窟とも言うかもしれん。」

あー、なるほど(?)ローザさんが説明してくれたあと、試験官がルール説明を始める。

「このダンジョンは上級ダンジョンです、」

その言葉で周りがざわつく、上級ってすごいのかな…?

「ルールは簡単です。ダンジョンに入って最低1匹の魔物を倒して最深部に到達する、それだけです。魔物は一人1匹である必要があり、倒したと言う証拠を何らかの手段でわかるようにしてください。最深部には第二次試験官が控えています、2日以内に辿り着いた者全て合格にします。帰りたいなら普通に帰ってください、命の保証はできませんので。ではご武運を…」

説明が終わったのに複数並んでるダンジョンの入り口に入るものはいなかった。

「2日以内…」

ローザさんが呟いたのを見て聞いてみる。

「それってむずいの?」

「当たり前だろう、上級ダンジョンだぞ。」

へー、やっぱ難しいんだ...私はアロたちの方を見ると二人とも悩んだように言う。

「どのルートが一番人が少ないかな…?」

人?魔物じゃなくて??私は言い間違えたのかもと少し考えるがこんな結論に至った。二人とも試験のために変装するくらいだし、人見知りなんだろうな…私がこの結論が普通に間違っていることを知るのはまだまだであった。

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