ハイビスカスの思い出

思い出す 十九歳の ベランダの コンクリートに 緋色を 散らした 



鉢植えで 日課みたいに ハイビスカス 曇っていても雨が降っても




 備忘録が書きたくて思い付いた珍しいパティーンです。




 大学生の頃に花屋でバイトしているという知人から鉢植えを頂きました。

 だいぶ年上で、それほど親しくしていたわけでもなかったので唐突な贈り物に嬉しくも驚きました。


「茅花さんのイメージにピッタリだから、どうしてもあげたくて」とのこと。


 花を育てるなんて小学校の朝顔以来。


 大事に育てていたら真っ赤なハイビスカスが咲きました。




 ・・・どんなイメージ持たれてんだよ。



 まだ咲くの?と思うくらいに毎日毎日咲きました。

 あんまりにも元気いっぱい毎日どんどん咲くから、もっと広いところで咲かせてやりたかったと思ったものです。


 冬が近づいた頃に、ついに咲かなくなってしまった。

 寂しくて持ち直してほしくて一生懸命水をあげましたが枯れてしまいました。



 昨年の秋、職場でいつもなら通らない廊下を歩いてみると窓際の鉢に赤い花が咲いているのを発見。



 此処から先は更なる余談です。


 当時を思い出して色んな角度から夢中になって眺めていると


「これ何の花だと思う?」と話しかけられました。


 面識は無い方でしたが存在は存じております。

 すれ違いにあいさつする程度。お名前も知らなかった。



あの変な人だ!と思いました。



 男性で恐らくは五十代。パーマを当ててオシャレで、イケオジの部類に入るのでしょうが持ち物が奇妙。キッズ用の可愛い傘が印象的。



「ハイビスカスだと思って見ていました」旨を答えると


「ああ、なるほど、そうかも」と、私と一緒になってしばらく眺めて「ありがとう」と満足そうに去って行かれました。



 後日そちらの棟に用事があって出向くと、あの変なおじさんがニコニコ手を振ってくれている。

 手を振り返しそうになり「ハッ」となった。


 めっちゃ偉い人の席に座っていました。


 あっちの棟は燕の巣もあるし好きだなー。


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